日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] オンラインポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS01] Outer Solar System Exploration Today, and Tomorrow

2023年5月25日(木) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (1) (オンラインポスター)

コンビーナ:木村 淳(大阪大学)、佐柳 邦男 M(NASA Langley Research Center)、土屋 史紀(東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/25 17:15-18:45)

15:30 〜 17:00

[PPS01-P04] 木星氷衛星探査ミッション (JUICE) 搭載ガニメデレーザ高度計 (GALA): 性能モデルシミュレーション

*荒木 博志1、石橋 高2並木 則行1、野田 寛大1、小林 正規2塩谷 圭吾3、尾崎 正伸1、水野 貴秀3、齋藤 義文3、東原 和行3押上 祥子3、鹿島 伸悟1木村 淳4、Steinbrugge Gregor5、Stark Alexander5、Althaus Christian5、Del Togno Simone5、Lingenauber Kay5、Hussmann Hauke5 (1.国立天文台、2.千葉工業大学 惑星探査研究センター、3.宇宙科学研究所、4.大阪大学、5.ドイツ航空宇宙センター)

キーワード:JUICE、GALA、レーザ高度計、APD、適合フィルター、放射線

木星衛星ガニメデ,エウロパ,カリストの探査を目指しヨーロッパ宇宙機構(ESA)が主導するJUICE計画(JUpiter ICy moons Explorer, 2022年打上げ予定)で搭載されるレーザ高度計(GALA)の開発が,ドイツ,日本,スイス,スペインの国際協力で進められている。我々はGALA性能モデルを用い,GALAの科学要求を満たす誤測距確率(PFD)と測距精度の条件を検討した[1]。
 GALAの科学要求は,[A] 高度1300km以下のエウロパフライバイでPFD<0.2,[B]高度500㎞のガニメデ周回軌道上(GCO500),最悪観測条件で測距精度<10m,PFD<0.2,[C]同じく平均的観測条件で測距精度<2m,PFD<0.1,[D]最良観測条件で測距精度<1m,PFD<0.1,となる。これらの要求を満たすGALA受信パルス波形のSNR(R_SNR)を決めるため,適合フィルターから出力される反射レーザ光の受信波形をシミュレーションによって再現し,[A]~[D]それぞれの要求を満たす最小のSNRをR_SNRとして求めた(表1)。ここで[A]の測距精度要求は10mとした。このR_SNRの実現可能性を調べるには,GALAの機器性能や観測条件から現実的なSNR(C_SNR)を計算し,R_SNR<C_SNRである事を確かめれば良い。
ただし木星周囲の過酷な放射線環境によってGALAの反射光検出器(APD)の性能劣化が予想されるため,その影響を考慮してC_SNRを予測しなければならない。我々は木星周囲の環境を模擬した2MeV電子線及び50MeVの陽子線をAPDに照射し,従来文献データからの推定に頼っていたAPD放射線劣化(量子効率,過剰ノイズ指数,表層暗電流,バルク暗電流など)を再評価した。この結果をGALA性能評価モデルに組込み,現実的な性能評価を行ったところ,アナログエレクトロニクスモジュール(AEM)のノイズの影響評価を除き,GALAの科学要求が満たされることを確かめることができた(R_SNR < C_SNR,Table1)。