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[PPS01-P06] 木星探査機「JUICE」のガニメデ・レーザー高度計(GALA):APDとエレクトロニクスの開発
キーワード:木星氷衛星探査機、ガニメデレーザー高度計、光センサー、アバランシェフォトダイオード、アナログエレクトロニクス、整合フィルター
ガニメデレーザー高度計(GALA)は、ESAの木星探査ミッション(JUICE; JUpiter ICy moons Explorer)の搭載機器として、木星の氷衛星ガニメデの表面形状やアルベドの観測を目的に開発された。この原稿を書いている時点では、GALAを搭載したJUICEは2023年4月に予定されている打ち上げを待っている。GALAの開発は、ドイツ、日本、スイス、スペインのチームが共同で行い、GALA日本チームは、バックエンド光学系(BEO)、アバランシェフォトダイオード(APD)センサーモジュール、APDモジュールを搭載する焦点面アセンブリ(FPA)、アナログ電子モジュール(AEM)の開発を担当している。本発表では、日本チームの担当部分であるAPDモジュールとAEMの開発について紹介する。
GALAに搭載されているAPDセンサモジュールは、Excelitas Technologies Corp.の市販品、LLAM-1060-R8BHをベースに開発された。APDモジュールは、APDセンサ(C30954E、Si APD)、プリアンプ(トランスインピーダンスアンプ、TIA)、温度センサ、ペルチェ素子を含むハイブリッドICで構成されている。APDセンサは、1064nmのYAGレーザーを使用するデバイスに有利な、1060nmで約36%の高い量子効率を持つ民生用APDをベースにしている。APDセンサーのC30954Eは非常に人気があり、過去の宇宙ミッションでも多くの成功実績がある。例えば、「かぐや」のLALTや「はやぶさ2」のLIDARにもこのセンサーが使用されている。使用するAPDセンサは市販品のため、表1に示す要求仕様を満たすよう、GALA開発専用に管理された製造ロットからフライト用とバックアップ用のものを厳選して使用した。
また、GALAチームが要求する性能を満たし、かつJUICEミッションで必要とされる環境耐性を満たすために、APDモジュールにプリアンプとして内蔵されるTIAは、帯域、利得、ノイズレベルの要求を満たすように設計された。APDセンサモジュールの開発では、木星磁気圏の高強度電子ビームによる性能劣化が大きな問題となった。そこで、フランス航空宇宙研究所(ONERA)において電子線照射試験を実施し、APDセンサーの耐放射線性を調査した。また、量子科学技術研究所の放射線実験室と東京工業大学のコバルト照射施設で陽子線照射試験を実施し、APDセンサーの性能劣化の度合いを調べた。これらの試験により、電子線照射に対するAPDセンサーの性能劣化の程度を調べた。
AEMの役割は大きく2つある。1つは、光パルス測定に適した条件でAPDセンサーモジュールを動作させること。AEMには,APDセンサーに逆バイアス電圧を印加するための高電圧回路があり,APDセンサーの最適な応答性を得るために300V~400Vの範囲で1Vステップで制御可能である。また,APDセンサは温度依存性が強いため,信号利得を安定化させるために,ペルチェ素子を駆動して温度を制御する熱制御回路も備えている。
AEMの第2の役割は、APDセンサーがTIAを介して出力するアナログ信号(100MHzの帯域幅で連続的に変化)をADC回路でデジタルデータに変換し、リアルタイムにRFMに送ることである。APDモジュールの出力信号が劣化しないように、APDの出力信号をADC回路に導く利得制御アンプと差動変換回路を備えたアナログ信号線を実装した。その結果、ADCの入力信号のノイズレベルが表2に示す要求値を満たすように抑制され、その他のパラメータも満足することができた。
GALAに搭載されているAPDセンサモジュールは、Excelitas Technologies Corp.の市販品、LLAM-1060-R8BHをベースに開発された。APDモジュールは、APDセンサ(C30954E、Si APD)、プリアンプ(トランスインピーダンスアンプ、TIA)、温度センサ、ペルチェ素子を含むハイブリッドICで構成されている。APDセンサは、1064nmのYAGレーザーを使用するデバイスに有利な、1060nmで約36%の高い量子効率を持つ民生用APDをベースにしている。APDセンサーのC30954Eは非常に人気があり、過去の宇宙ミッションでも多くの成功実績がある。例えば、「かぐや」のLALTや「はやぶさ2」のLIDARにもこのセンサーが使用されている。使用するAPDセンサは市販品のため、表1に示す要求仕様を満たすよう、GALA開発専用に管理された製造ロットからフライト用とバックアップ用のものを厳選して使用した。
また、GALAチームが要求する性能を満たし、かつJUICEミッションで必要とされる環境耐性を満たすために、APDモジュールにプリアンプとして内蔵されるTIAは、帯域、利得、ノイズレベルの要求を満たすように設計された。APDセンサモジュールの開発では、木星磁気圏の高強度電子ビームによる性能劣化が大きな問題となった。そこで、フランス航空宇宙研究所(ONERA)において電子線照射試験を実施し、APDセンサーの耐放射線性を調査した。また、量子科学技術研究所の放射線実験室と東京工業大学のコバルト照射施設で陽子線照射試験を実施し、APDセンサーの性能劣化の度合いを調べた。これらの試験により、電子線照射に対するAPDセンサーの性能劣化の程度を調べた。
AEMの役割は大きく2つある。1つは、光パルス測定に適した条件でAPDセンサーモジュールを動作させること。AEMには,APDセンサーに逆バイアス電圧を印加するための高電圧回路があり,APDセンサーの最適な応答性を得るために300V~400Vの範囲で1Vステップで制御可能である。また,APDセンサは温度依存性が強いため,信号利得を安定化させるために,ペルチェ素子を駆動して温度を制御する熱制御回路も備えている。
AEMの第2の役割は、APDセンサーがTIAを介して出力するアナログ信号(100MHzの帯域幅で連続的に変化)をADC回路でデジタルデータに変換し、リアルタイムにRFMに送ることである。APDモジュールの出力信号が劣化しないように、APDの出力信号をADC回路に導く利得制御アンプと差動変換回路を備えたアナログ信号線を実装した。その結果、ADCの入力信号のノイズレベルが表2に示す要求値を満たすように抑制され、その他のパラメータも満足することができた。