09:00 〜 09:15
[PPS06-01] 超小型探査機エクレウスによる月面衝突閃光観測 (1):ミッション概要と初期成果
★招待講演
キーワード:月面衝突閃光、流星体、太陽系小天体、超小型探査機
彗星や小惑星を起源とする直径μm〜mのダストを流星体(メテオロイド: meteoroid)と呼ぶ.直径が1mm程度のメテオロイドが秒速数10kmで地球大気に突入する際の発光現象が流星(meteor)である.一方,直径cm〜数10cmのメテオロイドが月面に衝突すると,0.01〜0.1秒程の短時間発光である月面衝突閃光(Lunar Impact Flash; 以下LIF)が可視から近赤外線波長領域で発生し,約5〜11等級の点光源として地上望遠鏡で観測される.稀な流星現象である火球(fireball)の多くは,cmサイズ以上のメテオロイドの大気突入によって生じるが,広大な月面を望遠鏡代わりにしたLIF観測は,地上単点観測に比べて約100倍効率良くcmサイズ以上のメテオロイドを観測することができる.つまりLIF観測は,近年のカメラセンサーの感度・速度の向上により可能となった,地球-月圏へ流入する微小天体のうち未解明領域である流星と小惑星を繋ぐメトロイドのサイズ分布,衝突頻度と季節・時間変動を統計的に調べることができる新たなツールといえる.しかし,地上からのLIF観測は,月齢による限られた観測期間,天候,大気,地球照の影響などにより,安定した長時間モニターは困難である.一方,月周回あるいは月近傍からは,LIFの長時間継続モニターが可能で,月面でのメテオロイド衝突モデルのアップデートと衝突予報の持続的な提供が期待される.LIF観測は,今後の人類の月面活動の際の環境モニターの一つとしても考慮されるべきテーマと考えられる.月面衝突閃光観測を通して,(1) 流星と小惑星を繋ぐメテオロイドのサイズ(質量)分布関数と衝突頻度の解明,(2) メテオロイドの月面衝突を震源とした月震計測との連携による月内部構造探査,(3) LIFからの衝突地点と月周回衛星LRO撮像による形成クレータの同定と天体衝突物理の理解など,分野横断的なサイエンステーマが考えられる.また,月面衝突に伴う広範囲におよぶ放出物によるリスク評価,今後増えることが予想される人工飛翔体の廃棄現場となる月面衝突地点の確認などへの利用も考えられる.
超小型探査機「EQUULEUS」は,東京大学とJAXAが開発した6Uキューブサットで,NASA大型月ロケットSLSのピギーバックペイロードとして第2・地球-月ラグランジュポイント(EML2)周りの秤動軌道に向かう予定です.一方,日本大学,電気通信大学,東京大学,JAXAおよび主要メーカーらと共同で開発した超小型探査機「EQUULEUS」搭載の月面衝突閃光観測カメラ「DELPHINUS」は,2022年11月16日にNASAアルテミス計画1・SLSの相乗りで打ち上げられ,放出された後のチェックアウト運用,ファーストライト撮像を経て,月フライバイ時のタイムラプス撮影などを成功させた.
本講演では,6U超小型探査機「EQUULEUS」に搭載された月面衝突閃光観測カメラのミッション概要を説明するとともに,これまでに得られた画像と地上試験で得られたデータを比較した性能評価などについても報告し,今後のミッションスケジュールと期待される成果について紹介する.
超小型探査機「EQUULEUS」は,東京大学とJAXAが開発した6Uキューブサットで,NASA大型月ロケットSLSのピギーバックペイロードとして第2・地球-月ラグランジュポイント(EML2)周りの秤動軌道に向かう予定です.一方,日本大学,電気通信大学,東京大学,JAXAおよび主要メーカーらと共同で開発した超小型探査機「EQUULEUS」搭載の月面衝突閃光観測カメラ「DELPHINUS」は,2022年11月16日にNASAアルテミス計画1・SLSの相乗りで打ち上げられ,放出された後のチェックアウト運用,ファーストライト撮像を経て,月フライバイ時のタイムラプス撮影などを成功させた.
本講演では,6U超小型探査機「EQUULEUS」に搭載された月面衝突閃光観測カメラのミッション概要を説明するとともに,これまでに得られた画像と地上試験で得られたデータを比較した性能評価などについても報告し,今後のミッションスケジュールと期待される成果について紹介する.