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[PPS06-P20] 反射シミュレーションによる月の縦孔・地下空洞の光環境の推定
キーワード:月、月の縦孔、反射シミュレーション
月周回衛星SELENE「かぐや」の地形カメラで観測された画像データから,縦孔が発見され,その後,月周回衛星LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)の斜め観測によってその縦孔下に水平空間が広がっていることが確認されている.また,その縦孔は,隕石衝突などにより溶岩チューブの上に開いたとされ,縦孔下に地下空洞が存在すると考えられている.縦孔下に存在する地下空洞の探査を行うことで,縦孔・地下空洞の利用や基地建設のための情報だけでなく,縦孔の形成要因や月の火山活動史を解明する上で重要な情報が得られることが期待されている.月の縦孔の底や壁面,地下空洞の構造や物性を把握するために光学カメラによる撮影が検討されている.探査用カメラは撮影する場の光環境を基に開発されるが,縦孔内部は未探査のため光環境は詳しくは明らかになっていない.そこで,本研究では,縦孔内の光環境を推定することを目的とし,月の縦孔をモデル化し,数値シミュレーションによって縦孔内の放射照度,放射輝度を求めた.例えば縦孔の半径,縦孔の壁の高さ,空洞の高さがそれぞれ50 mの円筒モデルを考え,縦孔内部の各面に入射した太陽直達光は反射率をRとした均等拡散反射をすると仮定する.このモデルにおける数値シミュレーションの計算結果より,太陽が縦孔の天頂に位置する正午頃,縦孔の中心から100m以内の空洞の天井と壁は,縦孔の底全体からの反射光により照らされ,放射照度の値は最大で太陽の放射照度の10〜50×R % 程度であることがわかった.同様のモデルにおいて太陽高度が45度のとき,縦孔の底に太陽直達光は入射しないが,縦孔の壁の反射光によって照らされる縦孔の底面の放射照度は,太陽光の放射照度の1〜7×R % 程度の値であることがわかった.