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[PPS06-P26] 昼側月面におけるオージェ電子分光の実現可能性の研究
オージェ電子分光 (Auger Electron Spectroscopy; AES)は、試料表面から数nm深さの化学組成を調査する方法の一つである。近年、月を周回するARTEMIS探査機に搭載された静電分析器(Electrostatic Analyzer; ESA)によって月面から放出されたオージェ電子が観測されたことが確認された(Xu et al., 2021)。我々は、Lin and Gopalan (1991)によって初めて予想された月周回機からの電子観測を用いたAESの実現可能性の検証を行うため、昼側月面から放出された光電子とオージェ電子のエネルギースペクトルを計算する数値モデルを開発した。モデルによって予想されたエネルギースペクトルはARTEMISによる観測と整合的である。このモデルをもとにして、酸素(O)原子と鉄(Fe)原子由来のオージェ電子が観測されたエネルギー区分における相対的な寄与を調査する。続いて、現在使用可能なARTEMISの観測データからAESを用いて月面の数nm深さの組成を得ることができるかどうかについて、将来の電子観測における可能性も考慮しつつ議論する。