15:30 〜 17:00
[PPS06-P27] ARTEMIS衛星で観測される月周辺の電子サイクロトロン高調波の統計解析
電子サイクロトロン高調波(ECH:Electron Cyclotron Harmonic Wave)とはプラズマ波動の一種であり、電子のBernstein mode waveが励起したもので、電子サイクロトロン周波数の整数倍の間にスペクトルのピークをもつ高調波構造が特徴である。 大規模な固有磁場を持たず、大気も存在しない月と宇宙プラズマの相互作用によって形成される月周辺のプラズマ環境のもとで、ECHが励起されていることが確認されている。
先行研究においては、月から高度約100 kmを周回する月周回衛星KAGUYAのデータを用いたECHの解析が行われているが、さらに高い高度でのECHの研究は進んでいない。
そこで、本研究では、月周辺を楕円軌道で周回し、KAGUYAに比べ広い高度範囲を観測しているARTEMIS衛星のデータを用いて、月周辺におけるECHの励起とプラズマ環境の関係を解明することを目的とする。
ARTEMIS衛星が観測した波動データから、2016年から2021年の6年間の期間においてECHが観測されている事例を収集した。その上でECHが観測された際の粒子・電場のダイナミックスペクトル・DC磁場データを解析した。
その結果、ARTEMIS衛星が周回する高度において観測されたECHは、励起した周波数帯域によって、UHR周波数付近にスペクトルのピークをもつもの(タイプ1)、サイクロトロン周波数の整数倍の間に複数のスペクトルのピークをもつもの、(タイプ2)、タイプ1とタイプ2の両方の特徴をもつもの (タイプ3)に分類できることがわかった。
次に、タイプごとにプラズマ環境、月と衛星の位置関係に注目した解析を行なった。その結果、タイプ1はプラズマシートでも観測されたが、ローブ内の特に日照側で多く観測された。タイプ2は観測回数が少ないがローブでのみ観測された。タイプ3はローブでも観測されたが、プラズマシートの日照、日陰で多く観測された。
KAGUYAにおけるECHの解析によって、ECHの励起には月周辺でみられる特徴的な電子速度分布が関係することが明らかにされている。本研究においても、タイプごとに発生場所と条件に偏りがあることから、タイプごとに励起の原因が異なると推察している。発表では、タイプごとの電子速度分布についても言及する予定である。
先行研究においては、月から高度約100 kmを周回する月周回衛星KAGUYAのデータを用いたECHの解析が行われているが、さらに高い高度でのECHの研究は進んでいない。
そこで、本研究では、月周辺を楕円軌道で周回し、KAGUYAに比べ広い高度範囲を観測しているARTEMIS衛星のデータを用いて、月周辺におけるECHの励起とプラズマ環境の関係を解明することを目的とする。
ARTEMIS衛星が観測した波動データから、2016年から2021年の6年間の期間においてECHが観測されている事例を収集した。その上でECHが観測された際の粒子・電場のダイナミックスペクトル・DC磁場データを解析した。
その結果、ARTEMIS衛星が周回する高度において観測されたECHは、励起した周波数帯域によって、UHR周波数付近にスペクトルのピークをもつもの(タイプ1)、サイクロトロン周波数の整数倍の間に複数のスペクトルのピークをもつもの、(タイプ2)、タイプ1とタイプ2の両方の特徴をもつもの (タイプ3)に分類できることがわかった。
次に、タイプごとにプラズマ環境、月と衛星の位置関係に注目した解析を行なった。その結果、タイプ1はプラズマシートでも観測されたが、ローブ内の特に日照側で多く観測された。タイプ2は観測回数が少ないがローブでのみ観測された。タイプ3はローブでも観測されたが、プラズマシートの日照、日陰で多く観測された。
KAGUYAにおけるECHの解析によって、ECHの励起には月周辺でみられる特徴的な電子速度分布が関係することが明らかにされている。本研究においても、タイプごとに発生場所と条件に偏りがあることから、タイプごとに励起の原因が異なると推察している。発表では、タイプごとの電子速度分布についても言及する予定である。