日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] 惑星科学

2023年5月22日(月) 10:45 〜 12:00 展示場特設会場 (3) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:金丸 仁明(東京大学)、荒川 創太(海洋研究開発機構)、座長:金丸 仁明(東京大学)、古賀 亮一(名古屋大学 環境学研究科)

10:45 〜 11:00

[PPS07-06] 多孔質粘弾性重力理論の構築-固液混合層の潮汐加熱-

*鎌田 俊一1 (1.北海道大学 理学研究院)

キーワード:潮汐、固液混合、多孔質

潮汐は天体の熱進化や軌道進化の原動力となる普遍的現象である。従来、固体天体の潮汐応答は、天体が固体層や液体層でできていると想定してモデル化されてきた。しかしながら、全球的に固液が共存するような層の存在が様々な天体で示唆されている。例えば、エンセラダスにおける海水の浸透する岩石核や、月マントル下端の部分溶融層などであり、そこでは大きな潮汐加熱が予想されている。また、固体天体形成初期のマグマオーシャンの完全固化前は分厚い部分溶融層が想定され、そういった初期には潮汐による自転速度の大きな変化が見込まれている。本研究では、全球的な固液共存層が存在する場合の潮汐変形・潮汐加熱に関する理論を構築した。具体的には、従来の潮汐研究で用いられてきた粘弾性重力理論と、主に工学の分野で発展してきた多孔質弾性論を統合した。応用例として、エンセラダスの岩石核の潮汐加熱について調べた。その結果、固体の粘性率を大きく下げなくとも、岩石核表層部分の海水の動きが大きな発熱をもたらすことが分かった。これはあくまで応用の一例であり、本研究で構築した理論は広い応用性が期待される。