10:45 〜 12:15
[PPS07-P09] 地球外模擬有機物の付着力測定に向けた衝撃加速度を用いた測定装置の開発
キーワード:ダスト、有機物、付着力
原始惑星系円盤において,重力が効かないサイズでは,ダストは衝突付着により成長すると考えられているが,ケイ酸塩ダストは付着性が低く,破壊や跳ね返り,中心星への落下が成長の障害になると考えられている.しかし,成層圏で回収される惑星間塵は有機物に覆われていることが確認されており(Flynn et al., 2013),有機物の存在はダストの付着性に影響する可能性がある(Homma et al., 2019).一方,隕石・彗星有機物の合成反応の1つとしてホルモース型反応がある(Cody et al., 2011; Furukawa et al., 2021)が,その有機物の付着特性は不明である.そこで,我々はその有機物の低温真空環境での付着力測定を構想した.
ダストの付着力測定法として,原子間力顕微鏡カンチレバーを用いて接触粒子を引き離すのに必要な力を直接測定する手法(Heim et al., 1999),粒子凝集体の引張強度測定に基づき粒子間付着力を推定する手法(Steinpilz et al. 2019),遠心加速度を用いて平板から粒子を引き離すのに必要な力を直接測定する手法(遠心法:Nagaashi et al., 2018; 2021; Nagaashi & Nakamura, in press)が用いられている.しかし,不規則形状粒子の測定や統計的な議論に足るデータの取得が容易ではない点,引張強度と付着力の関係が明確ではない点,測定時間がかかることが原因で測定環境の制御が容易ではない点がそれぞれ問題となる.そこで,測定環境の制御が容易かつ統計的な付着力の直接測定を実現するため,本研究では,遠心法と同様の原理だが,遠心加速度の代わりに瞬間的な衝撃加速度を用いる手法(衝撃分離法:Otsuka et al., 1983)を採用する.
本研究の測定機構は,圧縮ばねで加速された小型真空チャンバーを衝突板に衝突させることで発生する衝撃加速度を用い,チャンバー内で粒子の付着力測定を実現するというものである.衝撃加速度はチャンバーに取り付けた加速度センサーで測定し,衝撃加速度の大きさは衝突板の材質とばねの圧縮長さを変えることで調整する.圧縮ばねにより発生する衝撃加速度をセンサーで測定する機構は完成し,現在は衝撃加速度の大きさの調整を行っている.発表では,より詳細な測定の機構と小型真空チャンバーや低温測定の構想を紹介する.
ダストの付着力測定法として,原子間力顕微鏡カンチレバーを用いて接触粒子を引き離すのに必要な力を直接測定する手法(Heim et al., 1999),粒子凝集体の引張強度測定に基づき粒子間付着力を推定する手法(Steinpilz et al. 2019),遠心加速度を用いて平板から粒子を引き離すのに必要な力を直接測定する手法(遠心法:Nagaashi et al., 2018; 2021; Nagaashi & Nakamura, in press)が用いられている.しかし,不規則形状粒子の測定や統計的な議論に足るデータの取得が容易ではない点,引張強度と付着力の関係が明確ではない点,測定時間がかかることが原因で測定環境の制御が容易ではない点がそれぞれ問題となる.そこで,測定環境の制御が容易かつ統計的な付着力の直接測定を実現するため,本研究では,遠心法と同様の原理だが,遠心加速度の代わりに瞬間的な衝撃加速度を用いる手法(衝撃分離法:Otsuka et al., 1983)を採用する.
本研究の測定機構は,圧縮ばねで加速された小型真空チャンバーを衝突板に衝突させることで発生する衝撃加速度を用い,チャンバー内で粒子の付着力測定を実現するというものである.衝撃加速度はチャンバーに取り付けた加速度センサーで測定し,衝撃加速度の大きさは衝突板の材質とばねの圧縮長さを変えることで調整する.圧縮ばねにより発生する衝撃加速度をセンサーで測定する機構は完成し,現在は衝撃加速度の大きさの調整を行っている.発表では,より詳細な測定の機構と小型真空チャンバーや低温測定の構想を紹介する.