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[PPS07-P16] エネルギースペクトルを用いた水星固有磁場発生深度の推定
キーワード:水星、Mauersbergerスペクトル、Lowes半径、惑星ダイナモ
MESSENGER(MErcury Surface, Space ENvironment, GEochemistry, and Ranging)は水星の周回軌道に初めて投入された探査機であり,惑星電磁気学的にはベクトル磁場観測データを用いて水星の磁気赤道が北側にオフセットしている事を明らかにし,それを基に水星固有磁場のガウス係数も推定されている(Anderson et al., 2012).水星の固有磁場強度がその大きな金属核に比べ小さいことから,外核の上部が成層している内部構造が提唱され(Christensen, 2006),最近ではそれに基づくダイナモシミュレーションによって,北側にオフセットした水星表面磁場が再現されている(Takahashi et al., 2019).
また,ガウス係数からポテンシャル磁場の平均エネルギー密度スペクトルであるMauersbergerスペクトルを求めると,その傾きから推定されるLowes半径は惑星内部の電流球半径,すなわちダイナモ領域の半径に相当する.地球のLowes半径はコア-マントル境界半径に近い値となるが,水星固有磁場のガウス係数から求められるLowes半径は,外部磁場変化に対して水星コアにより誘導される磁場(Katsura et al., 2020)や,多くの測地学的研究により求められた水星のコア-マントル境界よりかなり小さい値になる.
木星では,ダイナモシミュレーションからその固有磁場の動径方向依存性を計算し,得られたエネルギースペクトルとMauersbergerスペクトルの傾きを比較して,Lowes半径はダイナモ半径の下限を与えるという議論が行われている(Tsang and Jones, 2019).
本研究では,水星固有磁場を再現する外核上部が成層しているモデルを用いたダイナモシミュレーションを行い,水星内部の固有磁場の平均磁場エネルギー密度スペクトルを求める.それと水星表面でのMauersbergerスペクトルとの比較から推定されるダイナモ半径を,既存の水星内部構造と照合/検証した結果を報告する.
また,ガウス係数からポテンシャル磁場の平均エネルギー密度スペクトルであるMauersbergerスペクトルを求めると,その傾きから推定されるLowes半径は惑星内部の電流球半径,すなわちダイナモ領域の半径に相当する.地球のLowes半径はコア-マントル境界半径に近い値となるが,水星固有磁場のガウス係数から求められるLowes半径は,外部磁場変化に対して水星コアにより誘導される磁場(Katsura et al., 2020)や,多くの測地学的研究により求められた水星のコア-マントル境界よりかなり小さい値になる.
木星では,ダイナモシミュレーションからその固有磁場の動径方向依存性を計算し,得られたエネルギースペクトルとMauersbergerスペクトルの傾きを比較して,Lowes半径はダイナモ半径の下限を与えるという議論が行われている(Tsang and Jones, 2019).
本研究では,水星固有磁場を再現する外核上部が成層しているモデルを用いたダイナモシミュレーションを行い,水星内部の固有磁場の平均磁場エネルギー密度スペクトルを求める.それと水星表面でのMauersbergerスペクトルとの比較から推定されるダイナモ半径を,既存の水星内部構造と照合/検証した結果を報告する.