10:45 〜 12:15
[PPS07-P19] 土星リング内の小衛星が作るギャップ構造
キーワード:土星リング、リング内衛星
1997年に打ち上げられたカッシーニ探査機による土星リングの観測から, リング内の様々な興味深い力学的構造が明らかになった(e.g. Porco et al. 2005). 我々はその中でも特に, A リング内に埋め込まれた小衛星ダフニスやパンが作るギャップ構造に着目した. カッシーニの観測により, これらの小衛星が作るギャップの端はシャープに切れており, 衛星近傍では密度波が立っていることが知られている. 過去に解析的議論からシャープなギャップ端の維持メカニズムが提案されており(e.g. Borderies et al. 1982, 1983, 1989), 小衛星とリング粒子間の相互作用についてのlocalなN 体シミュレーション(e.g. Lewis & Stewart 2000)により, そのメカニズムの妥当性も示唆されている.
しかし, ギャップ構造はlocalな領域内での計算だけでは記述し切れない可能性がある. そこで我々は, 土星リング内で実際に起こっている物理を統一的に再現することを目的に, 衛星が作るギャップ構造のglobalな3次元 N 体シミュレーションを実施した. N体計算コードGPLUM(Ishigaki et al. 2021)を用いて, リング粒子間の自己重力・非弾性衝突を考慮して, 衛星との重力相互作用によるリング粒子群(~105 体)の構造形成を, 衛星質量と円盤質量を様々に変えて計算した.
その結果, シャープに切れたギャップ端や衛星とリング粒子の重力相互作用によって誘起された密度波の構造を再現したばかりでなく, ギャップ端の密度波面の部分に山脈のようにそそり立つ鉛直構造も再現されていることを発見した. これらは全て, カッシーニの観測によって実際に確認されているものである. 本講演ではこれらのシミュレーションの結果を紹介し, 衛星質量や円盤質量のギャップ構造への依存性について議論する.
しかし, ギャップ構造はlocalな領域内での計算だけでは記述し切れない可能性がある. そこで我々は, 土星リング内で実際に起こっている物理を統一的に再現することを目的に, 衛星が作るギャップ構造のglobalな3次元 N 体シミュレーションを実施した. N体計算コードGPLUM(Ishigaki et al. 2021)を用いて, リング粒子間の自己重力・非弾性衝突を考慮して, 衛星との重力相互作用によるリング粒子群(~105 体)の構造形成を, 衛星質量と円盤質量を様々に変えて計算した.
その結果, シャープに切れたギャップ端や衛星とリング粒子の重力相互作用によって誘起された密度波の構造を再現したばかりでなく, ギャップ端の密度波面の部分に山脈のようにそそり立つ鉛直構造も再現されていることを発見した. これらは全て, カッシーニの観測によって実際に確認されているものである. 本講演ではこれらのシミュレーションの結果を紹介し, 衛星質量や円盤質量のギャップ構造への依存性について議論する.