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[PPS07-P21] 磁気流体力学的に降着する原始惑星系円盤の進化に対する磁束輸送の効果
キーワード:原始惑星系円盤、惑星形成、降着円盤
原始惑星系円盤は、ミクロンサイズのダストからキロメートルサイズの惑星へと成長する、惑星誕生の場である。原始惑星系円盤の構造と進化は主に、磁場による円盤角運動量輸送過程に支配されている。原始惑星系円盤の磁気流体シミュレーションによると、円盤を貫く大規模な磁場である正味の垂直磁場強度が円盤降着の効率を決定することが示されている。しかし、円盤内の正味の垂直磁場分布がどのように進化するかは、観測的にも理論的にもこれまでに殆ど明らかにされていない。
本研究の目的は、原始惑星系円盤の質量と正味の垂直磁場の共進化過程を明らかにすることである。そのために、ガス面密度と正味の垂直磁場の半径方向の内側移流・拡散を同時に扱う1次元円盤モデルを構築する。ガス面密度の移流速度と正味の垂直磁場の磁気拡散係数は自由パラメータとして扱う。本研究では磁気風によって駆動される角運動量輸送による降着を考えている。磁気流体シミュレーションの結果から、質量降着率は磁場強度と中心星からの距離の関数として仮定した。
その結果、円盤外側では内側移流が支配的でかつ円盤内側では磁場の総量である磁束が保存される場合には、質量降着率は時間とともに増加し、円盤面密度は急速に減少することがわかった。磁気風による降着で円盤の角運動量が失われるため、円盤半径は時間と共に小さくなる。円盤半径が小さくなると、磁束保存により垂直方向の正味の垂直磁場強度は増加するため、磁場の関数である質量降着率が増加する。さらに、円盤進化の後期段階では、円盤面密度や正味の磁場強度が軌道半径と時間のべき乗則に近づき、自己相似的であることを見出した。このことから、円盤進化後期段階における降着を記述する自己相似解を解析的に導出した。
これらの結果は、原始惑星系円盤内で磁場移流よりも磁気拡散が支配的であっても、磁気駆動降着によって観測された原始惑星系円盤の寿命(~約100万年)を説明できる可能性を示唆している。さらに、円盤の質量降着率は必ずしも空間的に一様でないことを示唆しており、特に降着より磁気拡散が支配的な場合、降着率は星からの距離とともに増加する。また、このモデルから予想される恒星近傍での質量降着率は、観測値より1桁以上小さい。このことは、磁気風以外の降着メカニズムも中心星の周りの円盤降着に重要であることを示している。
本研究の目的は、原始惑星系円盤の質量と正味の垂直磁場の共進化過程を明らかにすることである。そのために、ガス面密度と正味の垂直磁場の半径方向の内側移流・拡散を同時に扱う1次元円盤モデルを構築する。ガス面密度の移流速度と正味の垂直磁場の磁気拡散係数は自由パラメータとして扱う。本研究では磁気風によって駆動される角運動量輸送による降着を考えている。磁気流体シミュレーションの結果から、質量降着率は磁場強度と中心星からの距離の関数として仮定した。
その結果、円盤外側では内側移流が支配的でかつ円盤内側では磁場の総量である磁束が保存される場合には、質量降着率は時間とともに増加し、円盤面密度は急速に減少することがわかった。磁気風による降着で円盤の角運動量が失われるため、円盤半径は時間と共に小さくなる。円盤半径が小さくなると、磁束保存により垂直方向の正味の垂直磁場強度は増加するため、磁場の関数である質量降着率が増加する。さらに、円盤進化の後期段階では、円盤面密度や正味の磁場強度が軌道半径と時間のべき乗則に近づき、自己相似的であることを見出した。このことから、円盤進化後期段階における降着を記述する自己相似解を解析的に導出した。
これらの結果は、原始惑星系円盤内で磁場移流よりも磁気拡散が支配的であっても、磁気駆動降着によって観測された原始惑星系円盤の寿命(~約100万年)を説明できる可能性を示唆している。さらに、円盤の質量降着率は必ずしも空間的に一様でないことを示唆しており、特に降着より磁気拡散が支配的な場合、降着率は星からの距離とともに増加する。また、このモデルから予想される恒星近傍での質量降着率は、観測値より1桁以上小さい。このことは、磁気風以外の降着メカニズムも中心星の周りの円盤降着に重要であることを示している。