10:45 〜 12:15
[PPS07-P23] 原始惑星系円盤内側領域の温度・密度構造の共進化
原始惑星系円盤におけるダストの合体成長や濃集によって微惑星が形成される。さらに、微惑星が衝突合体や周りのダストを捕獲することで成長し、惑星が形成される。しかし、ダスト粒子から微惑星が形成されるプロセスは解明されていない。
微惑星形成の原因となるダストの濃集がどのようにして実現されるかを知るために、円盤構造進化の理解が必要である。近年の理論計算により、磁気乱流強度の温度依存性がダストを濃集する領域を形成し、太陽系の岩石微惑星が現在の軌道付近に形成されることが示された。しかし、このモデルは円盤が常に放射平衡であると仮定しており、非平衡な温度進化による熱的な不安定性などの非定常な円盤進化を考慮できていない。
本研究の目的は、円盤内側領域の非平衡な温度進化を考慮した場合にも、ダストの濃集を引き起こすような圧力バンプが形成されるのかということを検証することである。そのために、ダストとガスの移流拡散と非定常なエネルギー方程式を同時に計算することによって温度構造と密度構造の共進化を調べた。ダストは温度が1400 Kを超えた場合に昇華すると仮定し、臨界破壊速度を10 m/sとして付着・破壊も考慮した。温度進化には、中心星照射と円盤降着による加熱、放射冷却、熱拡散などを考慮した。磁気回転不安定(MRI)の温度依存性は、温度が1000 Kを超えたときにMRI活性となり、乱流強度が上昇すると仮定した。
計算の結果、円盤内側は熱的に不安定となったが、乱流強度の切り替わる場所に圧力バンプが形成され、ダストの濃集が起こりうることがわかった。降着加熱によってMRI活性となった領域の外側境界では、乱流粘性トルクによって角運動量を獲得したガスが外側に向かって流れた。ダストもこれに引きずられて移動し、ガス圧力が極大となるところにダストが集結した。温度が下がりMRI非活性となると再びダストが内側へ移動した。すると温度が上がり内側領域が再びMRI活性となった。この過程が繰り返される中で、徐々にダストの面密度が上昇し、ダストの濃集が起こった。微惑星形成につながりうる、赤道面のダスト密度がガス密度を超えるようなダストの濃集は0.5 auから0.7 auで起こり、このときの温度は700 Kから800 Kほどであった。濃集したダストの総質量は地球質量の数倍ほどであった。この結果は、現在の地球軌道付近の領域において現在よりも高温な環境のもとで岩石微惑星が形成される可能性を示唆する。
微惑星形成の原因となるダストの濃集がどのようにして実現されるかを知るために、円盤構造進化の理解が必要である。近年の理論計算により、磁気乱流強度の温度依存性がダストを濃集する領域を形成し、太陽系の岩石微惑星が現在の軌道付近に形成されることが示された。しかし、このモデルは円盤が常に放射平衡であると仮定しており、非平衡な温度進化による熱的な不安定性などの非定常な円盤進化を考慮できていない。
本研究の目的は、円盤内側領域の非平衡な温度進化を考慮した場合にも、ダストの濃集を引き起こすような圧力バンプが形成されるのかということを検証することである。そのために、ダストとガスの移流拡散と非定常なエネルギー方程式を同時に計算することによって温度構造と密度構造の共進化を調べた。ダストは温度が1400 Kを超えた場合に昇華すると仮定し、臨界破壊速度を10 m/sとして付着・破壊も考慮した。温度進化には、中心星照射と円盤降着による加熱、放射冷却、熱拡散などを考慮した。磁気回転不安定(MRI)の温度依存性は、温度が1000 Kを超えたときにMRI活性となり、乱流強度が上昇すると仮定した。
計算の結果、円盤内側は熱的に不安定となったが、乱流強度の切り替わる場所に圧力バンプが形成され、ダストの濃集が起こりうることがわかった。降着加熱によってMRI活性となった領域の外側境界では、乱流粘性トルクによって角運動量を獲得したガスが外側に向かって流れた。ダストもこれに引きずられて移動し、ガス圧力が極大となるところにダストが集結した。温度が下がりMRI非活性となると再びダストが内側へ移動した。すると温度が上がり内側領域が再びMRI活性となった。この過程が繰り返される中で、徐々にダストの面密度が上昇し、ダストの濃集が起こった。微惑星形成につながりうる、赤道面のダスト密度がガス密度を超えるようなダストの濃集は0.5 auから0.7 auで起こり、このときの温度は700 Kから800 Kほどであった。濃集したダストの総質量は地球質量の数倍ほどであった。この結果は、現在の地球軌道付近の領域において現在よりも高温な環境のもとで岩石微惑星が形成される可能性を示唆する。