15:30 〜 17:00
[SCG48-P02] 桜島・錦江湾ジオパークに産する普通オパールと瑪瑙の紹介
|産状、岩石記載及びそれらの利用方法について
キーワード:普通オパール、熱水循環、桜島・錦江湾ジオパーク、保全・保護
桜島・錦江湾ジオパークを代表する姶良カルデラ縁の安山岩類の空隙に、普通オパールと瑪瑙が産することを報告する。産出地は姶良市加治木町にある獺貫(うそぬき)の滝で、前カルデラ期の安山岩として桜島・錦江湾ジオパークのジオサイト(資源)に指定されている。この地域には、姶良-Tn噴火のプレカルデラ活動によってマグマが地下浅部に貫入してできた湯湾岳安山岩が分布している(大塚・西井上, 1980)。湯湾岳安山岩の火山活動時期は、石基部分のK-Ar年代から少なくとも0.9から0.5 Ma程度の幅をもっていることが見積もられている(周籐ほか, 2000)。 オパールは、遊色を示さない白色もしくは青みがかった乳白色で、直径が1 - 10 mm程度の魚卵上の集合体である(楠本・吉瀬, 2022)。また、瑪瑙は母岩の湯湾岳安山岩の空隙に充填されるように産する。
一般に、オパールは温泉などのシリカ分に富んだ流体から晶出し、そのオパールは瑪瑙に変化すると考えられている(Deer et al., 2013)。そのため、オパールと瑪瑙はポストカルデラ期の局所的な物質循環(特に熱水の循環)について記録していることが期待できる。そこで、本発表では姶良市加治木地域に産するオパールの産状と岩石記載に関する報告を行う。
普通オパールと瑪瑙は滝の周辺に見つかる。採取した標本の切断面は、瑪瑙に特徴的な縞模様を呈し、表面に普通オパールが見られる(Fig.1a)。鏡下において、瑪瑙と母岩は互いに接し、接触部は赤色酸化している部分がある(Fig. 1b)。普通オパールと瑪瑙が繰り返し層をなす縞状の構造が見られる物もある(Fig. 1c)。瑪瑙は花弁状の組織を持っており、結晶の長軸方向がに放射状に広がる(Fig. 1d)。
一般によく知られているように、オパールは、温泉などの熱水に含まれるシリカが、地表で流体が冷却もしくは蒸発することによって晶出すると考えられ、オパールは瑪瑙に変化する(Deer et al. 2013)。特定の環境下で、結晶化や相変化する過程について、岩石に記録されているようなケースは興味深い。本研究では、時間の経過や温度・圧力変化、熱水の組成変化にともなって、Fig. 1cのようなオパールが瑪瑙に変化していく過程が見られるケースが見られた。この岩石を詳細に調べていくことで、結晶化当時の環境や、瑪瑙に縞模様が作られる現象(リーゼガングリング現象)が現れる原因などに制約を与えることができるかもしれない。
姶良カルデラ縁では、獺貫の滝の他にもオパールを産出する地点が確認された。それらも含めて面的に調査・研究を行うことで、姶良カルデラの底に存在するマグマ溜まりの影響を含めたポストカルデラステージのマグマ-熱水系の変遷について知る手掛かりになるだろう。
また、ジオパークのエリア内に存在する地球科学的に貴重な資源は,住民の絶好の教育材料ともなりうる。 獺貫の滝は、桜島・錦江湾ジオパークの資源とされている事から、このオパールを保全しながら広く一般の市民に愛されるような活用方法を模索すると同時に、学術的に調査・研究されることが望まれる。
一般に、オパールは温泉などのシリカ分に富んだ流体から晶出し、そのオパールは瑪瑙に変化すると考えられている(Deer et al., 2013)。そのため、オパールと瑪瑙はポストカルデラ期の局所的な物質循環(特に熱水の循環)について記録していることが期待できる。そこで、本発表では姶良市加治木地域に産するオパールの産状と岩石記載に関する報告を行う。
普通オパールと瑪瑙は滝の周辺に見つかる。採取した標本の切断面は、瑪瑙に特徴的な縞模様を呈し、表面に普通オパールが見られる(Fig.1a)。鏡下において、瑪瑙と母岩は互いに接し、接触部は赤色酸化している部分がある(Fig. 1b)。普通オパールと瑪瑙が繰り返し層をなす縞状の構造が見られる物もある(Fig. 1c)。瑪瑙は花弁状の組織を持っており、結晶の長軸方向がに放射状に広がる(Fig. 1d)。
一般によく知られているように、オパールは、温泉などの熱水に含まれるシリカが、地表で流体が冷却もしくは蒸発することによって晶出すると考えられ、オパールは瑪瑙に変化する(Deer et al. 2013)。特定の環境下で、結晶化や相変化する過程について、岩石に記録されているようなケースは興味深い。本研究では、時間の経過や温度・圧力変化、熱水の組成変化にともなって、Fig. 1cのようなオパールが瑪瑙に変化していく過程が見られるケースが見られた。この岩石を詳細に調べていくことで、結晶化当時の環境や、瑪瑙に縞模様が作られる現象(リーゼガングリング現象)が現れる原因などに制約を与えることができるかもしれない。
姶良カルデラ縁では、獺貫の滝の他にもオパールを産出する地点が確認された。それらも含めて面的に調査・研究を行うことで、姶良カルデラの底に存在するマグマ溜まりの影響を含めたポストカルデラステージのマグマ-熱水系の変遷について知る手掛かりになるだろう。
また、ジオパークのエリア内に存在する地球科学的に貴重な資源は,住民の絶好の教育材料ともなりうる。 獺貫の滝は、桜島・錦江湾ジオパークの資源とされている事から、このオパールを保全しながら広く一般の市民に愛されるような活用方法を模索すると同時に、学術的に調査・研究されることが望まれる。