15:30 〜 17:00
[SCG48-P13] 日本の珪長質深成岩体の噴火能力
キーワード:珪長質深成岩体、噴火能力、粘性係数、浅所貫入、脱ガス・結晶作用
この講演は,日本の珪長質深成岩体の噴火能力に関するものである.Scaillet et al.(1998)とTakeuchi(2011)は噴火したマグマのマグマ溜り内でのバルク粘性係数は106 Pa s 以下であることを示した.今回はこのマグマ溜りでのバルク粘性係数106 Pa sを噴火能力の基準として日本の珪長質深成岩体の噴火能力の判定を試みた.
Glazner (2014)は珪長質ミニマムメルトの粘性係数を温度―圧力図の中に示し,より高温高圧条件では粘性係数は低いが,0.1 GPaの圧力(深さ3-4㎞に相当)で780 C以下では粘性係数は106 Pa sを越えることを示した.今回,例として屋久島花崗岩YMG(Anma et al., 1998; SiO2 = 70.92 wt.%)について,rhyolite-MELTS (Gualda et al., 2012)を用いて,水飽和における相平衡関係を求め,バルクと液の粘性係数(Giordano et al., 2008),密度(Ochs and Lange, 1999)を求めたが,0.1 GPaの圧力で結晶作用と発泡・脱ガスにより,820 C以下ではバルク粘性係数は106 Pa sを越えることが示された.浅所ではマグマは発泡・脱ガスし,リキダス温度の上昇に伴って結晶作用が生じバルク粘性係数が増大するため噴火能力を失う可能性が考えられる.
日本の多くの珪長質深成岩体では,(a) 掘削で浅所に高温花崗岩体が見出される,(b)同時代の火山噴出物に貫入している,(c)細粒斑状組織を呈する,(d)晶洞,ペグマタイト,アプライト等が存在する等,浅所貫入を示す場合が多く見られる.これらのことから,日本列島の珪長質深成岩体のかなり多くのものが浅所貫入で噴火能力を失ったマグマが固化したものである可能性が考えられる.
Glazner (2014)は珪長質ミニマムメルトの粘性係数を温度―圧力図の中に示し,より高温高圧条件では粘性係数は低いが,0.1 GPaの圧力(深さ3-4㎞に相当)で780 C以下では粘性係数は106 Pa sを越えることを示した.今回,例として屋久島花崗岩YMG(Anma et al., 1998; SiO2 = 70.92 wt.%)について,rhyolite-MELTS (Gualda et al., 2012)を用いて,水飽和における相平衡関係を求め,バルクと液の粘性係数(Giordano et al., 2008),密度(Ochs and Lange, 1999)を求めたが,0.1 GPaの圧力で結晶作用と発泡・脱ガスにより,820 C以下ではバルク粘性係数は106 Pa sを越えることが示された.浅所ではマグマは発泡・脱ガスし,リキダス温度の上昇に伴って結晶作用が生じバルク粘性係数が増大するため噴火能力を失う可能性が考えられる.
日本の多くの珪長質深成岩体では,(a) 掘削で浅所に高温花崗岩体が見出される,(b)同時代の火山噴出物に貫入している,(c)細粒斑状組織を呈する,(d)晶洞,ペグマタイト,アプライト等が存在する等,浅所貫入を示す場合が多く見られる.これらのことから,日本列島の珪長質深成岩体のかなり多くのものが浅所貫入で噴火能力を失ったマグマが固化したものである可能性が考えられる.