日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG49] 固体地球科学と材料科学の融合が切り拓く新展開

2023年5月26日(金) 10:45 〜 12:00 202 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、辻野 典秀(公益財団法人 高輝度光科学研究センター)、土屋 旬(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、大村 訓史(広島工業大学)、座長:河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、土屋 旬(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、大村 訓史(広島工業大学)、辻野 典秀(公益財団法人 高輝度光科学研究センター)

11:15 〜 11:30

[SCG49-02] 分子動力学シミュレーションから導かれるマイクロクラックを含むα水晶の振動特性

*舩橋 郁地1、小林 亮2大村 訓史3河合 研志1 (1.東京大学、2.名古屋工業大学、3.広島工業大学)

キーワード:マイクロクラック、分子動力学法、シミュレーション

岩石中に生じたマイクロクラックは、弾性波の速度や減衰率などといった岩石の物理的性質に影響を及ぼす。クラック表面の運動は、マイクロクラックがこうした性質を発揮することの根源的な要因のひとつであると考えられるが、その直接的な観測は依然として困難である。古典分子動力学法は、原子系を古典粒子系とみなしてその時間発展を数値的に解くものであり、観測の難しいミクロな過程をシミュレーションできることから、その効果を議論するために広く活用されてきた。クラックに関しては、原子間結合の切断を比較的簡単に取り扱うことができるという特性から、クラックの進展のシミュレーションがこれまでに多く行われている。しかし、ひとたび形成されたマイクロクラックの表面がどのような運動学的性質を持つかに着目した例は少ない。我々の研究では、マイクロクラックを模擬した空隙を含むα水晶サンプルの振る舞いを古典分子動力学シミュレーションによって観察し、発生する振動現象について調べている。シミュレーション結果から抽出されるマイクロクラックを含むサンプルの振動特性は、クラックから放射あるいは散乱される弾性波と強い結びつきを持つと考えられる。本発表では、これまでに得たシミュレーション結果およびその実験的に観測されている現象との関連性を報告する。