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[SCG50-P03] 北海道, 幌満かんらん岩体の層状構造を明らかにするための構造岩石学的研究
キーワード:マントル、かんらん岩、結晶方位
北海道, 幌満かんらん岩体は日高変成帯南縁部に位置するアルプス型のかんらん岩体である. 幌満かんらん岩体は地質学的, 岩石学的特徴からUpper Zoneと Lower Zoneに分けられる. Upper Zoneはmafic rocksに富み, 数mmから数mスケールの層構造が発達する.幌満かんらん岩は上部マントル起源の新鮮なかんらん岩体であり, この岩体に発達する層構造の成因を明らかにすることは, 幌満かんらん岩体の上昇・定置プロセスを理解する上で重要である. Upper Zoneに分類されるアポイ岳北尾根の露頭では, spinel-bearing harzburgite(スピネルかんらん岩), plagioclase lherzolite(斜長石かんらん岩), mafic rocksの三つの岩相による層構造が発達する. この露頭から岩石試料を採取し構造岩石学的データを解析した.
微細構造観察からこれらの岩石は転位クリープで変形したと解釈できる. Electron Back Scattered Diffraction (EBSD) 分析では, オリビンのCPOの[010]はZ軸方向に強い集中を示し, [100], [001]はガードル分布を示す. このようなオリビンのCPOファブリックは部分溶融したかんらん岩が変形したことを示唆する(Holzman et al., 2003). 結晶方位解析の結果は, 岩相によらず結晶方位の配向性が一定方向に揃っており, スピネルかんらん岩と斜長石かんらん岩を含むこれらの層状岩は同一のイベントで変形したことを示す. スピネルかんらん岩と斜長石かんらん岩の安定領域を考慮し, 両者の岩石にパーガス閃石が線構造に平行配列することから, アポイ岳北尾根露頭を構成する層状の岩石は温度約1000℃, 圧力約1GPaでの変形を最終的に記録していると提案する.
微細構造観察からこれらの岩石は転位クリープで変形したと解釈できる. Electron Back Scattered Diffraction (EBSD) 分析では, オリビンのCPOの[010]はZ軸方向に強い集中を示し, [100], [001]はガードル分布を示す. このようなオリビンのCPOファブリックは部分溶融したかんらん岩が変形したことを示唆する(Holzman et al., 2003). 結晶方位解析の結果は, 岩相によらず結晶方位の配向性が一定方向に揃っており, スピネルかんらん岩と斜長石かんらん岩を含むこれらの層状岩は同一のイベントで変形したことを示す. スピネルかんらん岩と斜長石かんらん岩の安定領域を考慮し, 両者の岩石にパーガス閃石が線構造に平行配列することから, アポイ岳北尾根露頭を構成する層状の岩石は温度約1000℃, 圧力約1GPaでの変形を最終的に記録していると提案する.