11:30 〜 11:45
[SCG52-14] 沖縄トラフ南部,八重山海底地溝を対象とした海洋底拡大前夜の背弧海盆での断層構造の空間不均一
キーワード:沖縄トラフ、背弧海盆、正断層、東シナ海、マグマ活動
1.はじめに
地球表面の約5%は背弧海盆由来のものであるといわれている.しかし,その形成過程について,特に力学的な特徴は詳しくは分かっていないため,プレートの誕生から消滅を説明するウィルソンサイクルに背弧海盆は組み込まれていない.発達過程については,コーナーフローモデルとスラブプルモデルの2つのモデルが主要なメカニズムとして考えられてきた。.背弧海盆での海洋底拡大活動が始まると,拡大活動前に形成された変形構造が乱されてしまう.そのため,拡大活動前の応力状態を認識することは困難であると考えられる.
本研究では背弧海盆形成の初期モデルであり,世界でほぼ唯一背弧海盆拡大する直前の状態を研究することができる沖縄トラフをフィールドにする.沖縄トラフの中でも水深が最も深く,断層構造が最も発達しており,マグマが地下から上がってきている様子が確認されている南部(八重山海底地溝周辺)を対象にする.ここでは現在形成されている地質構造群から力学的な特徴を明らかにする.
2.使用データおよび解析方法
2021年に実施された白鳳丸KH-21-3航海(Otsubo et al., 2021)で得られた地形データと反射法地震探査データと,JAMSTEC, 産総研(Misawa et al., 2020), およびGEBCOのデータを使用した.八重山海底地溝周辺の地形データをGMT (Generic Mapping Tools) (Wessel et al. 2019)で図に起こし,この海底地形図から確認された段差構造について走向とその間隔を計測した.また,段差間隔の平均値を使って,Soliva et al.(2006)の式からメカニカルレイヤーの厚さを算出した.
3.結果および考察
確認できた段差構造は157であり,これらの構造の走向はE-W方向が卓越していた.段差構造の数は八重山地溝の北側と南側でほぼ同じであった.これらの構造を6つのグループ(北側3つ,南側3つのグループ)に分類して比較したところ,西部,中央部,東部のそれぞれの卓越する走向が異なることが分かった.また,北部の中部の段差構造は弧状に発達していた.段差構造の平均間隔は約 1.76 km であり,北側ではおおむね平均値前後の値であったが,南側ではそれ以上の差が認められた.最小値と最大値の差は約2.9倍になった.この差は沖縄トラフ南部の拡大直前の時期において,トラフ中軸部で応力,物性,もしくはマグマの上昇の様子に空間的な差がある可能性がある.
地球表面の約5%は背弧海盆由来のものであるといわれている.しかし,その形成過程について,特に力学的な特徴は詳しくは分かっていないため,プレートの誕生から消滅を説明するウィルソンサイクルに背弧海盆は組み込まれていない.発達過程については,コーナーフローモデルとスラブプルモデルの2つのモデルが主要なメカニズムとして考えられてきた。.背弧海盆での海洋底拡大活動が始まると,拡大活動前に形成された変形構造が乱されてしまう.そのため,拡大活動前の応力状態を認識することは困難であると考えられる.
本研究では背弧海盆形成の初期モデルであり,世界でほぼ唯一背弧海盆拡大する直前の状態を研究することができる沖縄トラフをフィールドにする.沖縄トラフの中でも水深が最も深く,断層構造が最も発達しており,マグマが地下から上がってきている様子が確認されている南部(八重山海底地溝周辺)を対象にする.ここでは現在形成されている地質構造群から力学的な特徴を明らかにする.
2.使用データおよび解析方法
2021年に実施された白鳳丸KH-21-3航海(Otsubo et al., 2021)で得られた地形データと反射法地震探査データと,JAMSTEC, 産総研(Misawa et al., 2020), およびGEBCOのデータを使用した.八重山海底地溝周辺の地形データをGMT (Generic Mapping Tools) (Wessel et al. 2019)で図に起こし,この海底地形図から確認された段差構造について走向とその間隔を計測した.また,段差間隔の平均値を使って,Soliva et al.(2006)の式からメカニカルレイヤーの厚さを算出した.
3.結果および考察
確認できた段差構造は157であり,これらの構造の走向はE-W方向が卓越していた.段差構造の数は八重山地溝の北側と南側でほぼ同じであった.これらの構造を6つのグループ(北側3つ,南側3つのグループ)に分類して比較したところ,西部,中央部,東部のそれぞれの卓越する走向が異なることが分かった.また,北部の中部の段差構造は弧状に発達していた.段差構造の平均間隔は約 1.76 km であり,北側ではおおむね平均値前後の値であったが,南側ではそれ以上の差が認められた.最小値と最大値の差は約2.9倍になった.この差は沖縄トラフ南部の拡大直前の時期において,トラフ中軸部で応力,物性,もしくはマグマの上昇の様子に空間的な差がある可能性がある.