日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG52] 海洋底地球科学

2023年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (6) (オンラインポスター)

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/23 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[SCG52-P05] KH-23-1航海で運用した「メガコア」と「コアキャッチャー付きアシュラ採泥器」 ~表層堆積物不擾乱採取の新手法~

*鈴木 克明1清家 弘治1、徳田 悠希2、竹友 祥平3石塚 治1 (1.産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2.鳥取環境大学、3.海洋技術開発株式会社)

キーワード:トカラ列島、海底堆積物

2023年1-2月にトカラ列島周辺海域で実施されたKH-23-1航海において、表層堆積物不擾乱採取の新しい手法を試験的に実施した。本発表ではその概略を紹介する。
<コアキャッチャー付きアシュラ採泥器>
表層不擾乱採泥器や自由落下式の柱状採泥器のパイロットコアラーとして、簡易式マルチプルコアラー(アシュラ)は広く利用されている。アシュラは堆積物下面をアームにより保持する。しかし、構造が複雑で誤作動する場合があること、硬い底質の場合にアームが充分に機能せず回収率が極端に下がる場合がある、などの問題点があった。KH-23-1航海では3Dプリンタにより印刷した樹脂製のコアキャッチャーを試験的に運用した。コアャッチャーを、アームを取り外したアシュラのサンプリングチューブの先端に取り付け、大口径グラビティコアラーのパイロットコアラーとして使用した。その結果、通常のアシュラの運用では回収が難しい細粒~極細粒砂質堆積物を30cm以上の長さで回収することに成功した。
<ボックスコアラーからの「メガコア」採取>
ボックスコアラーは、海底から40cm×40cm×最大50cm程度の範囲をほぼ擾乱なく大量に採取できる表層採泥器である。通常は船上でスライスや径10cm弱のサブコア試料の分取を行うが、本航海ではボックスコアラーで得た表層堆積物から直径20cmの「メガコア」を分取して実験室に持ち帰り、CT像撮影などの非破壊分析を行った。これにより、底生生物の巣穴の数十cmスケールでの空間分布様式、斜交層理などの堆積構造の側方連続性や、粗粒な層が擾乱を受けて部分的に消滅する様子など、多様な堆積構造が観察できた。