日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG52] 海洋底地球科学

2023年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (6) (オンラインポスター)

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/23 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[SCG52-P10] 中央インド洋海嶺ロドリゲス三重会合点付近の地震のメカニズム

*山田 詩歩1佐藤 利典2森井 彩斗3山田 知朗4篠原 雅尚4 (1.千葉大学理学部、2.千葉大学大学院理学研究院、3.千葉大学大学院融合理工学府、4.東京大学地震研究所)

キーワード:発震機構、中央インド洋海嶺、ロドリゲス三重会合点、non-transform offset (NTO)

1.はじめに
インド洋ロドリゲス三重会合点の北側に伸びる中央インド洋海嶺の第1セグメント東側には、かいれい熱水域があり、水素を豊富に含む熱水が噴出している。この地域の地震活動と地下構造を解明するために、2013年海底地震計(OBS)と人工震源を用いた自然地震調査と地震波探査を行った。これまで、高田 他(JpGU、2015)によってP波速度構造が、森井 他(JpGU、2021、地震学会、2022)や佐藤 他(JpGU、2023)でP, S波構造が報告されている。本研究では、森井 他(地震学会、2022)によって決定した震源を用いて地震のメカニズムを求め、この地域のテクトニクスについて考察した。

2.データと解析方法
データは、2013年1月27日から3月19日にかけて海洋研究開発機構、観測調査船「よこすか」で、海底地震計を用いて行った自然地震観測のデータである(YK13-01航海、YK13-03航海)。森井 他(地震学会、2022)がtomoDDを用いて求めた震源について解析を行った。メカニズムの決定には、FPFITを用いた。

3.結果
約1850個の地震の内、精度よくメカニズムが決まったものは、423個であった。かいれい熱水域の北西にある地震のクラスターや、海嶺軸で発生している地震は、正断層型のメカニズムをもつものが多く見られた。メカニズムのT軸、P軸をみると、プレートの拡大方向により近い軸が、熱水域の北西にある地震のクラスターではT軸が約7割、海嶺軸ではT軸が約6割となり、プレート拡大方向に伸長の応力場であることがわかる。海嶺軸の第1セグメントと第2セグメントの間は、non-transform offset (NTO)となっていて、トランスフォーム断層のような地形は見られず、NTOの南側には高まりがみられ、NTO massifではないかと考えられている。ここで起こる地震のメカニズムは、横ずれ型や正断層型が多く、この場所の広域応力場やNTO massifの生成過程(正断層で盛り上がる)と一致する。

謝辞: 観測に関して、海洋研究開発機構の観測調査船「よこすか」の船長と乗組員の方々の協力を頂きました。本研究は科研費新学術領域 20109002 の助成を受けて行われました。