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[SCG53-P01] リアルタイムGNSS測位手法の改良-地殻変動の即時把握に向けて-
キーワード:GNSS、GEONET、REGARD、相対測位、PPP、マルチGNSS
国土地理院では、GEONET(GNSS連続観測システム)で観測されたGNSSデータを用いて、リアルタイムに有限断層モデルを推定する、電子基準点リアルタイム解析システム(REGARD)を2016年から運用しており、これまで政府機関における初動対応等に貢献してきた。今般、甚大な被害が想定されている南海トラフ沿いの巨大地震に備え、REGARDの信頼性を高めるには、断層推定の入力となるリアルタイムGNSS測位解の高精度化が必須である。現在のREGARDは、海溝型巨大地震の影響が比較的小さい日本海側の観測点を固定局として全国の相対位置を決定する測位方式(相対測位)を採用している。相対測位では二重位相差を用いることで多くのノイズが消去されるため、通常精度の高い測位が可能だが、固定局由来のノイズが発生すると、それが全局に波及し測位解に悪影響を及ぼす。また、REGARDではGNSS衛星としてGPSとGLONASSを用いているが、日本の準天頂衛星システム(QZSS)が2023年度めどで7機体制となる予定であり、これへの対応も必要である。こうした状況を踏まえ国土地理院では、マルチGNSSを用いた精密単独測位(PPP)により、測位解の高精度化を目指している。PPPは固定局を必要とせず、各観測局の座標値を独立に求めるため、固定局に起因する精度劣化の心配がない。PPPに必要となる衛星軌道・時計情報及び補正情報は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)開発の高精度軌道決定ツール(MADOCA)を用いる計画である。本発表では、相対測位、PPPそれぞれの予備的な測位結果を報告する予定である。