13:45 〜 15:15
[SCG55-P09] 岩石物性値を支配する特徴的な微細構造をデジタル岩石物理と機械学習から可視化する試み
キーワード:デジタル岩石物理、CNN、クラス活性化マップ、比抵抗、弾性波速度
岩石物理モデルは,地球物理観測データを解釈する上で不可欠な知見で,地下構造推定によく用いられる。古典的なモデルはこれまで,岩石物性を解析的に解くことができるような単純な幾何形状(有効または等価媒質)を仮定することによって確立されてきた。しかし,それぞれのモデルから推定される物性値は,想定する幾何構造に大きく依存し,偏った地下構造を生み出す可能性があることに注意が必要である。一方,近年の画像技術の進歩(マイクロX線CTなど)により,岩石中の実際の微細構造を高解像度で可視化することが可能となった。さらに,そのようなデジタル化された岩石画像に数値シミュレーションを適用することで,弾性波速度や電気比抵抗などを算出することもできる(デジタル岩石物理)。しかし,岩石物性を支配する特徴的な微細構造については未だに明らかとなっていない。本研究では,機械学習とそのフィルタ・特徴量の抽出により,岩石物性(P波速度Vp,S波速度Vs,Vp/Vs比,電気比抵抗)を決定する特徴的な微細構造を可視化することを目的とする。
岩石物性の解析と機械学習には,Berea砂岩の3次元デジタル岩石画像と花崗岩亀裂の2次元開口幅分布を使用した。計算コストの削減・学習過程の強化・特徴マップの可視化のため2次元断面図を抽出して解析に使用している。まずはデジタル岩石画像をもとに,有限要素法(FEM)によってVp,Vs,比抵抗の計算を行った。そして,その計算結果を機械学習の学習データとして使用している。岩石画像から岩石物性を予測する回帰問題に対して,畳み込みニューラルネットワークの様々なフレームワークをテストした。モデルのハイパーパラメータを調整した後,クラス活性化マップに基づく特徴マップとフィルタを可視化した。
機械学習の結果,最適なモデルは平均二乗誤差約10-2で岩石の物性を予測することができた。可視化された特徴量マップは,マクロ的に見ると,弾性波速度は大きな粒子のつながり(=骨格)に支配され,電気比抵抗は固体の外縁部(=連結性)に支配されていることを示唆する結果となった。さらにフィルター可視化により,よりミクロな視点では,弾性波速度が空隙の大きさ・形・方向を捉えようとするのに対し,電気比抵抗は空隙の連結性を反映している可能性が示唆された。
岩石物性の解析と機械学習には,Berea砂岩の3次元デジタル岩石画像と花崗岩亀裂の2次元開口幅分布を使用した。計算コストの削減・学習過程の強化・特徴マップの可視化のため2次元断面図を抽出して解析に使用している。まずはデジタル岩石画像をもとに,有限要素法(FEM)によってVp,Vs,比抵抗の計算を行った。そして,その計算結果を機械学習の学習データとして使用している。岩石画像から岩石物性を予測する回帰問題に対して,畳み込みニューラルネットワークの様々なフレームワークをテストした。モデルのハイパーパラメータを調整した後,クラス活性化マップに基づく特徴マップとフィルタを可視化した。
機械学習の結果,最適なモデルは平均二乗誤差約10-2で岩石の物性を予測することができた。可視化された特徴量マップは,マクロ的に見ると,弾性波速度は大きな粒子のつながり(=骨格)に支配され,電気比抵抗は固体の外縁部(=連結性)に支配されていることを示唆する結果となった。さらにフィルター可視化により,よりミクロな視点では,弾性波速度が空隙の大きさ・形・方向を捉えようとするのに対し,電気比抵抗は空隙の連結性を反映している可能性が示唆された。