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[SCG55-P16] 深層学習を用いたVirtual Seismic Networkとその予備的検討
キーワード:仮想地震観測網、深層学習、地震動予測
過去の被害地震において揺れによる深刻な建物被害が局所的に発生したケースがたびたび報告されており、これは地震動が狭い範囲で大きく変化していることを示唆している。過去の被害地震に対して、局所的に変化する地震動の実態を把握し、その成因を解明することは防災・減災において極めて重要である。しかし、局所的な地震動の変化を観測できるような超高密度観測は実現性が低く、仮に実現できたとしても過去に遡って被害地震を観測することはできない。そこで本研究では常設観測点のみで観測されている過去の被害地震を超高密度で疑似観測するために、分割観測方式による稠密観測と深層学習を組み合わせることにより、常設観測点(リファレンス観測点)による観測データから観測点がない地点の地震動を推定する仮想地震観測網(Virtual Seismic Network)の構築を目指している。現在までに予備的な検討として、八丈島で実施した稠密地震観測データを利用して波形特徴量(初動走時と初動振幅)の推定を行った。44観測点のうち6点をリファレンス観測点として、リファレンス観測点とその他の観測点の関係を学習させ、その後のリファレンス観測点の観測データのみからその他の観測点の初動振幅と初動走時を推定した。使用したネットワークは入力層が33ユニット、中間層は3層でユニット数はそれぞれ32, 64, 128、出力層は2ユニットの全結合型ニューラルネットワークである。推定の結果、学習に使用したデータに対しては、走時の平均誤差と標準偏差がそれぞれ0.03秒、0.17秒、振幅では-1%と33%であった。また、学習に使用しなかったデータに対しては、走時の平均誤差と標準偏差が-0.03秒と0.33秒、振幅の平均誤差と標準偏差は-5%と46%であった。