日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG56] 変動帯ダイナミクス

2023年5月26日(金) 13:45 〜 15:00 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:深畑 幸俊(京都大学防災研究所)、岩森 光(東京大学・地震研究所)、大橋 聖和(山口大学大学院創成科学研究科)、座長:深畑 幸俊(京都大学防災研究所)、小森 純希(Earth Observatory of Singapore)

14:00 〜 14:15

[SCG56-13] 島弧の高重力異常と沈み込み帯の各種パラメターとの関係

*西沢 貴志1深畑 幸俊2 (1.京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻、2.京都大学防災研究所)


キーワード:フリーエア重力異常、沈み込み帯、島弧、相関分析

沈み込み帯には、特徴的な地形とフリーエア重力異常が存在する(島弧では高く、海溝では低く、外縁隆起帯ではやや高い)。 そして、その高さにはばらつきがある(例えば、千島とトンガでは高く、琉球とカスカディアでは低い)。島弧の高さにはどの種のパラメターが重要かを理解するために、世界中の沈み込み帯におけるフリーエア重力異常と他のパラメター(例えば、直交収束速度、スラブ年齢、傾斜角、曲率)との関係を調査する。
島弧の重力異常ピークは、外縁隆起帯の重力異常ピークまたは撓み断面積とよく相関する(R=0.54、R=0.56)。 島弧の重力異常ピークは、傾斜角と中程度に相関する(R=0.52)。 直交収束速度は、曲率と負の相関がある(R=-0.66)。 島弧の重力異常ピークは、直交収束速度および傾斜角とそれぞれ弱から中程度の正の相関(R = 0.26、0.52)しかないが、これら2 つの積と最も有意な相関(R = 0.73)を示す。これは海洋プレートの下向きの動きが島弧の形成をもたらすことを示唆している。また、スラブ傾斜の代わりに曲率を使用しても同様の結果が得られた(曲率のみ: R=0.33、直交収束速度との積: R=0.58)。
我々の結果は、沈み込み帯のdislocation modelと調和的である(Matsuura & Sato, 1989)。 このモデルでは、プレートの沈み込みによって引き起こされた「変位の食い違い」が重力場において作用し、島弧と外縁隆起帯の地形形成を説明する。このモデルによると、島弧の隆起速度はプレート収束速度に比例し、スラブの傾斜および曲率と正相関する。したがって、沈み込み帯のdislocation modelは、本研究において観測データから明らかになった、島弧のフリーエア重力異常と沈み込み帯の各種パラメターとの関係と一致する。