日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM14] Electric, magnetic and electromagnetic survey technologies and scientific achievements

2023年5月23日(火) 15:30 〜 16:45 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:馬場 聖至(東京大学地震研究所)、後藤 忠徳(兵庫県立大学大学院理学研究科)、Yuguo Li(Ocean University of China)、Wiebke Heise(GNS Science, PO Box 30368, Lower Hutt, New Zealand)、Chairperson:Yuguo Li(Ocean University of China)、石須 慶一(兵庫県立大学)

15:45 〜 16:00

[SEM14-07] MT法逆解析における随伴状態法の適用

*鈴木 惇史1 (1.JX金属探開株式会社)

キーワード:MT法、逆解析、随伴状態法、物理探査

MT法は、地下構造探査手法として一般的に用いられる手法の一つである。近年、より大きな計算資源が利用可能となったことから、3次元逆解析が一般的となっているが、この逆解析においては、大規模な離散化偏微分方程式を繰り返し解く必要がある。特に、目的関数の勾配ベクトルあるいはヤコビ行列を求める必要があり、この計算に大きな計算コストが生じる。
随伴状態法は、上述の目的関数の勾配ベクトルを求める際に、より少ない計算コストで計算することができる手法である。この手法を用いて勾配ベクトルを計算する際の主要な計算コストは、随伴方程式と呼ばれる、基となる離散化微分方程式Ax=bと同サイズの線形方程式を解く箇所で生じる。つまり、1回のモデルパラメーター更新において高々2回その線型方程式を解く程度の計算コストで勾配ベクトルを求めることができる。この手法は従来の手法(離散化微分方程式Ax=bのbを変え複数回解く手法)と比較して計算コストの面で有利であると考えられている(Johnson, 2021)。加えて、この手法では離散化微分方程式Ax=bを解く際に必要となるLU分解等の結果を利用することができる。
この手法を用いて、三次元MT法逆解析の計算プログラムを開発した。加えて、テストケースとして、Wannamaker(1991)等で用いられている比抵抗構造モデルで順解析を実行し、この結果を疑似データとして元の比抵抗構造を逆解析にて求めることができるかテストを実施した。その結果、このモデルと同様の比抵抗構造を逆解析にて求めることができた。