日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD01] 測地学・GGOS

2023年5月23日(火) 13:45 〜 15:00 304 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、三井 雄太(静岡大学理学部地球科学科)、松尾 功二(国土交通省 国土地理院)、座長:宮原 伐折羅(国土交通省国土地理院)、深谷 俊太朗(国土地理院)

13:45 〜 14:00

[SGD01-01] 全球統合測地観測システム(GGOS)-日本での最近の活動-

*宮原 伐折羅1大坪 俊通2横田 裕輔3、栗原 忍1、Sehnal Martin4、Sánchez Laura5 (1.国土交通省国土地理院、2.一橋大学、3.東京大学生産研究所、4.オーストリア連邦計量・測量庁、5.ミュンヘン工科大学ドイツ測地研究所)

キーワード:全休統合測地観測システム、国際測地学協会、宇宙測地技術、GGOS Japan

全球統合測地観測システム(GGOS)は,グローバル測地コミュニティの連携した地球システムの観測,監視に貢献している.測地学は,地球の形状,重力場,回転を時間の関数として決定する科学である.この目標を達成するために不可欠なのが,安定,整合的な測地基準系で,これにより,点や物体の時間変化する座標を決定し,宇宙空間での地球の運動を記述するための基盤が提供される.現在の観測機器と解析技術によって,地球惑星科学とその活用の進歩は,測地観測・解析インフラ,高品質な測地プロダクツが提供する基盤の上に成り立っている.このように,GGOSは,地球形状,回転,質量分布を監視し,記述し,理解するために必要となる地球観測の生成と共有を促進し,可能とするための探究を行っている.GGOSはまた,地球規模の変動プロセスを計測し,整合的に解釈するための根幹的な基盤であり,かつ,均質で持続可能な開発を世界のどこでも確実にするために不可欠な地理空間情報インフラである,測地基準座標系を推奨している.GGOSは,その母体である国際測地学協会(IAG)の構成要素であるIAG事業,IAG Commission及びInter-Commission Committeeと密接に連携し,こうした基盤を持続可能としている.加えて,GGOSは,国連,特に,国連地球規模の地理空間情報管理のための専門家委員会(UN-GGIM),UN-GGIM測地準委員会,新たに設置される国連の地球規模の測地連携拠点(2023年の早い時期に活動開始を予定)を含め,より広い地理空間情報コミュニティとの分野横断的な関係,及びそれらへの貢献を強化することによってIAGを支援している.ここでは,社会に対する測地学の価値を知らしめ,グローバルな測地コミュニティが直面する入り組んだ課題を理解し,解決する手助けをするための活動や取組を支援することがGGOSの貢献である.この目標に向かって,GGOSは,測地観測(https://ggos.org/obs/)と測地プロダクツ((https://ggos.org/products/)の詳細な記述を含む,包括的な測地ポータル(https://ggos.org/)を構築し,測地学の役割と重要性を説明するための短い動画など,様々なアウトリーチの手段を構築している.地域や国家からの参加は,グローバル測地に不可欠で,その強化は,GGOSの活動を持続可能とするための鍵である.GGOS Affiliateは,地域や国家からの参加を拡大するためのGGOS組織で,第1のGGOS AffiliateであるGGOS Japanは2017年に設立され,GGOSと国内の測地関係機関・研究所の連携に取り組んでいる.2020年に第2のGGOS AffiliateであるGGOS DACHは,2021年に設立され,GGOS JapanとGGOS DACHは,オンライン会合や研究者の人事派遣など,連携した活動を行っている.測地学へのアウトリーチを強化するため,GGOS Japanは,石岡測地観測局のVLBI-GNSSのローカルタイ観測のためのコロケーションを撮影した動画の作成し,2022年にGGOSのYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@iag-ggos/videos)で公開した.さらには,測地学会が測地データへのDOI付与を行う仕組みを立ち上げ、運用できるよう支援を行っている.GGOS Japanは,これらの活動を通じてGGOSに貢献し,国内の測地機関の間での連携の強化,GGOSへの参加の支援を行っている.