15:30 〜 17:00
[SGD01-P09] 電子基準点定常解析解とマルチGNSS-PPP解の整合性
キーワード:GNSS、精密単独測位、PPP、GEONET
国土地理院は、位置情報の管理を高度化する目的で、電子基準点定常解析(以下「定常解析」という)の解を用いた地表変動モデルの構築を目指した研究を進めている。一方、近年精密単独測位法(PPP)が注目されている。本稿では、地表変動モデルの構築にPPP解を適用する可能性を調査する目的で、全電子基準点についてPPP解と定常解析解の整合性を調査した結果を報告する。
使用したPPP解はアンビギュイティの決定を行ったスタティック解で、暦はJAXAが開発したソフトウエアMADOCAを用いて国土地理院で推定したものである。使用した衛星系は、「GPSのみ」「GPSとGLONASS」及び「GPS、GLONASSと準天頂衛星」の3種類とした。これを定常解析解(最終解(F5解))と比較した。具体的には、F5解に対するPPP解の差を日々計算し、評価期間について平均し、両者の整合性を評価した。
定常解析解においては、電子基準点の保守等の前後で座標値にオフセットが生じることが知られており、その値は精査されて一覧表となっている。地表変動モデル構築の際には、これを補正した解が用いられる。PPP解においても保守等の前後でオフセットが生じるが、その値は定常解析解のオフセットとは必ずしも一致しないことが判明した。そこで、オフセットの影響を避けるために評価期間は電子基準点の保守等が行われていない2021年8月の1ヶ月間とした。
また、GNSS解析の解、特に上下成分は、解析に使用したアンテナ位相特性モデルの影響を大きく受ける。そこでPPP解析では定常解析と同じモデルを使用し、GLONASSと準天頂衛星については、GPSの位相特性モデルをそのまま用いた。
初期的な結果では、東西成分と南北成分については、その差はいずれの衛星系の組み合わせでも概ね数mm程度であり、若干の緯度依存性が見られた。一方、上下成分についてはF5解に対してPPP解は下向きに1~2cmのバイアスが見られた。特にPPP解析に使用した衛星系が定常解析と同じGPSのみの場合でもバイアスが見られており、このバイアスが両者の解析手法の違いに起因することを示唆している。また、「GPSのみ」及び「GPSとGLONASS」よりも「GPS、GLONASSと準天頂衛星」の方が若干バイアスが大きい傾向がみられている。
使用したPPP解はアンビギュイティの決定を行ったスタティック解で、暦はJAXAが開発したソフトウエアMADOCAを用いて国土地理院で推定したものである。使用した衛星系は、「GPSのみ」「GPSとGLONASS」及び「GPS、GLONASSと準天頂衛星」の3種類とした。これを定常解析解(最終解(F5解))と比較した。具体的には、F5解に対するPPP解の差を日々計算し、評価期間について平均し、両者の整合性を評価した。
定常解析解においては、電子基準点の保守等の前後で座標値にオフセットが生じることが知られており、その値は精査されて一覧表となっている。地表変動モデル構築の際には、これを補正した解が用いられる。PPP解においても保守等の前後でオフセットが生じるが、その値は定常解析解のオフセットとは必ずしも一致しないことが判明した。そこで、オフセットの影響を避けるために評価期間は電子基準点の保守等が行われていない2021年8月の1ヶ月間とした。
また、GNSS解析の解、特に上下成分は、解析に使用したアンテナ位相特性モデルの影響を大きく受ける。そこでPPP解析では定常解析と同じモデルを使用し、GLONASSと準天頂衛星については、GPSの位相特性モデルをそのまま用いた。
初期的な結果では、東西成分と南北成分については、その差はいずれの衛星系の組み合わせでも概ね数mm程度であり、若干の緯度依存性が見られた。一方、上下成分についてはF5解に対してPPP解は下向きに1~2cmのバイアスが見られた。特にPPP解析に使用した衛星系が定常解析と同じGPSのみの場合でもバイアスが見られており、このバイアスが両者の解析手法の違いに起因することを示唆している。また、「GPSのみ」及び「GPSとGLONASS」よりも「GPS、GLONASSと準天頂衛星」の方が若干バイアスが大きい傾向がみられている。