15:30 〜 17:00
[SGD01-P11] GNSS-A観測の機器・角度依存誤差の補正手法の検討
キーワード:GNSS-A、海底地殻変動観測、海洋音響学
これまでのGNSS-A観測,とくに海上保安庁が運用するSGO-Aにおけるデータでは,上下動の位置決定精度が解析結果から予測されるばらつきよりも大きいという課題が見つかっていた.原因については場の擾乱や機器の問題など多くの議論があったが,近年のデータ分析から,通信信号の読み取り誤りが機器(海上局・海底局)・観測時期によってバイアス的にずれて発生することが主要因であることが判明した.このバイアスは機器に対する角度依存性を持ち,GNSSにおけるマルチパス,PCV補正とアナロジーがある.その誤りの大きさは10kHzの音波が約1500m/sで伝播する場において,片道7-8cmとなる.
この問題を正確に分析し,補正方法を考案するために,水槽における通信・測位実験を実施した.2022年10月に東京大学生産技術研究所海洋工学水槽で実施した実験では,概ね海底局で実際に発生していると推定される読み取り誤りの傾向が再現されていた.結果の一部については,「海域地震津波地殻変動観測の最前線」セッションの石川ほか,「海洋底地球科学」セッションの永江ほかを参照されたい.
この水槽実験では,読み取り誤りの傾向や角度に応じた偏りが実験で再現された.この際に分析のために,経路中にハイドロフォンを設置することで分析用のデータを取得した.このデータを利用して,それぞれの音響データの補正のために,読み取り誤りの原因が送受信のどの部分から発生しているかを分離して識別していく必要がある.
本発表では,この読み取り誤りの発生について,送受信の途中で計測したハイドロフォンデータの波形から原因を分析する.ハイドロフォンは海上局,海底局に取り付けてあり,海上局送信直後,海底局受信直前,海底局送信直後,海上局受信直前の4つの信号を観測している.本発表では,機器ごとの差異の原因について,ソナー構造と素子を考慮して議論する.
謝辞:本研究は地震研究所共同利用ERI JURP 2022-Y-KOBO25,東京大学Excellent Young Researcher project,SECOM 科学技術財団,科研費学術変革領域 (A) “Science of Slow-to-Fast Earthquakes“のJP21H05200の助成を受けました.
この問題を正確に分析し,補正方法を考案するために,水槽における通信・測位実験を実施した.2022年10月に東京大学生産技術研究所海洋工学水槽で実施した実験では,概ね海底局で実際に発生していると推定される読み取り誤りの傾向が再現されていた.結果の一部については,「海域地震津波地殻変動観測の最前線」セッションの石川ほか,「海洋底地球科学」セッションの永江ほかを参照されたい.
この水槽実験では,読み取り誤りの傾向や角度に応じた偏りが実験で再現された.この際に分析のために,経路中にハイドロフォンを設置することで分析用のデータを取得した.このデータを利用して,それぞれの音響データの補正のために,読み取り誤りの原因が送受信のどの部分から発生しているかを分離して識別していく必要がある.
本発表では,この読み取り誤りの発生について,送受信の途中で計測したハイドロフォンデータの波形から原因を分析する.ハイドロフォンは海上局,海底局に取り付けてあり,海上局送信直後,海底局受信直前,海底局送信直後,海上局受信直前の4つの信号を観測している.本発表では,機器ごとの差異の原因について,ソナー構造と素子を考慮して議論する.
謝辞:本研究は地震研究所共同利用ERI JURP 2022-Y-KOBO25,東京大学Excellent Young Researcher project,SECOM 科学技術財団,科研費学術変革領域 (A) “Science of Slow-to-Fast Earthquakes“のJP21H05200の助成を受けました.