日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD01] 測地学・GGOS

2023年5月24日(水) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (2) (オンラインポスター)

コンビーナ:横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、三井 雄太(静岡大学理学部地球科学科)、松尾 功二(国土交通省 国土地理院)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/23 17:15-18:45)

15:30 〜 17:00

[SGD01-P13] 石岡VLBI観測施設における国土地理院のVLBI事業の取組

*本田 昌樹1髙木 悠1、石垣 真史1、中久喜 智一1、吉藤 浩之1、森 克浩1、佐藤 雄大1 (1.国土地理院)

キーワード:VLBI、VGOS、コロケーション

国土地理院の石岡測地観測局のVLBI観測施設(以下「石岡局」という。)は、全球統合測地観測システム(GGOS)の一環として国際VLBI事業(IVS)が推進する全球VLBI観測システム(VGOS; Petrachenko et al., 2009)に対応したシステムを有しており、IVSが計画するVLBI国際観測に定常的に参加している。VGOSは、高速駆動する12m級中型アンテナ、2~14GHzの広帯域受信機及び最大32Gbpsのデータ記録速度に対応可能な観測システム等を用いて、1mmの位置決定精度を持つ測地解の提供、常時連続した観測の実現、24時間以内の迅速的な解の算出を目標としている。
近年、VGOSに対応した観測局の数は徐々に増加しており、2030年頃には30局程度のVGOS局が整備される見込みとなっている(Haas and Behrend, 2022)。現状、VLBI国際観測はVGOS観測と従来のS/X観測の両方が定常的に実施されている。石岡局では、受信機を含む観測システムを切替えながら、毎年期間を区切ってそれぞれの観測に参加している。両観測間のシステム切替えの期間は観測を実施することができないため、切替えを行わずVGOSの観測システムでS/X観測を実施することが望まれている。これを実現するための課題の一つとして、広帯域受信機で取得する直線偏波のデータをS/X観測で用いられる円偏波に変換することがあり、これについて検討を行った。また、石岡局の一部の観測装置に老朽化に伴うトラブルが生じていること、また今後VGOS観測の頻度が増えることに伴い、より多くのデータ格納容量が必要となることから、2023年の3月に、新たなサンプラーDBBC3や記憶装置Flexbuff等の調達をした。
また、石岡測地観測局にはIGSに登録されているGNSS観測点『ISHI』が併設されており、国土地理院ではVLBIとGNSS観測点のローカルタイベクトルを決定するため、定期的にコロケーション測量を実施している。2018年及び2020年に実施した測量の結果は国際地球回転・基準系事業(IERS)に提出され、国際地球基準座標系であるITRF2020の構築に寄与することとなった。このコロケーション測量結果の提出は、石岡局としては初めてとなる。
本発表では、上記をはじめとする石岡局におけるVLBI事業の取組について報告する。