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[SGL21-P02] 京都北山, 八丁平湿原における完新世の堆積環境史
キーワード:八丁平湿原、完新世、鬼界アカホヤテフラ、鬱陵隠岐テフラ、姶良Tnテフラ
八丁平湿原は,琵琶湖に注ぐ安曇川水系の江賀谷川の水源にある標高800〜820 mの高層湿原である.この湿原では鬱陵隠岐(U-Oki)と姶良Tn(AT)が検出され,最近3万年間の環境変遷が記録されている(高原・竹岡,1986).ただし, 7.3 cal ka BPの鬼界アカホヤ(K-Ah)は認められず,堆積記録の連続性は検討する必要があった.そこで湿原内の約200 mに渡る5カ所と支谷2カ所の計7カ所でピートサンプラーによるコア採取を行った.表層から1 m付近で砂礫層に当たるため,それより下位は採取できなかった.まずコア試料を観察し,X線撮影,土色計による色調測定,初磁化率測定,元素分析(C, N, S),含泥率測定,14C年代測定を行った.最下部の粘土層に含まれる植物片から約11 ka BPの年代値を得たが,85 cm付近からEPMAによる主成分化学組成からATに対比される火山ガラスが検出された.いずれのコアからもU-OkiとK-Ahに対比できる火山ガラスは検出できなかった.
八丁平湿原には砂礫層,粘土層,泥炭層のサイクルが3回認められている.このサイクルは,周囲の山地斜面の崩壊による塞き止め,池沼から湿原までの遷移に相当する.完新世の最新のサイクルでは,K-Ah前後で堆積中断があり,記録が残っていない可能性が高いと考えられる.
八丁平湿原には砂礫層,粘土層,泥炭層のサイクルが3回認められている.このサイクルは,周囲の山地斜面の崩壊による塞き止め,池沼から湿原までの遷移に相当する.完新世の最新のサイクルでは,K-Ah前後で堆積中断があり,記録が残っていない可能性が高いと考えられる.