日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL21] 地球年代学・同位体地球科学

2023年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (7) (オンラインポスター)

コンビーナ:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(高知大学海洋コア総合研究センター)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/25 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[SGL21-P03] 阿武単成火山群,宇生賀盆地の埋積過程

大下 愛央1、*奥野 充1西川 空1、藤木 利之2、中西 利典3林田 明4、鳥井 真之5、洪 完6 (1.大阪公立大学、2.岡山理科大学、3.ふじのくに地球環境史ミュージアム、4.同志社大学、5.熊本大学、6.韓国地質資源研究院)

キーワード:阿武単成火山群、宇生賀盆地、埋積過程、鬼界アカホヤ(K-Ah)テフラ、鍋山スコリア丘

阿武単成火山群は,溶岩流やスコリア丘などの単成火山が約400 km²に点在し,K-Ar年代により約2 Maから活動を開始した(角縁ほか, 2000).最新の噴火は,西部の笠山スコリア丘の形成で約9 kaのTL年代 (永尾, 2002) が得られたことから活火山に指定されている.宇生賀盆地は,南側の権現山 (約0.31 Ma), 北側の高牟礼山 (約0.18 Ma), 東側の西台・東台 (約0.04 Ma), そして,K-Ar年代測定では若すぎる鍋山スコリア丘・堀越溶岩に取り囲まれている.埋積堆積物は最終氷期から後氷期に渡ることが知られているが,鬼界アカホヤ(K-Ah)などのテフラは知られていない (畑中・三好,1980).現在の地表から深さ50~60 cmにスギを中心した埋もれ木 (5130~3676 cal BP) が多数産出している (Hakozaki et al., 2012).本研究では,この盆地の埋積過程を明らかにし,これらの火山の中で最新の鍋山スコリア丘の形成年代を推定するために,盆地内の東西に直線上の8カ所で,計10本のコア試料 (最長約7 m) を採取した.まずコア試料を観察し,X線撮影,土色計による色調測定,初磁化率測定,かさ密度などを測定し,木片などのAMS14C年代も測定した.コア試料は,最下部のシルト・粘土層から上位に向かって徐々に植物片に富む泥炭質のものに移化し,畑中・三好 (1980) が示したものと概略一致する.中央部の1ヶ所のみで深度1.5 mまで泥炭層 (ほぼ植物遺体) が認められ,そこからのみK-Ahに対比できるバブルウォール型火山ガラスが検出された.他の7カ所ではK-Ahは検出できず,K-Ah前後に堆積中断があったと考えられる.5130 cal BP 以降にスギなどが盆地周辺に侵入できる環境になったことと堆積中断が何らかの関係がある可能性がある.