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[SIT16-P07] 下部マントル圧力下大歪変形実験でのFeO多結晶体の結晶選択配向特性
キーワード:レオロジー、変形実験、下部マントル、FeO
地震波トモグラフィーより、アフリカと太平洋地下には下部マントル中部から最下部マントルにかけて地震波異方性のある大規模S波低速度領域(LLSVPs:Large Low Shear Velocity Provinces)の存在が知られているが、その物理学的背景はほとんどわかっていない。地震波異方性は結晶格子選択配向(CPO)の発達によって生じている可能性があり、その領域における構成鉱物の変形とCPO発達の関係を調べることで重要な知見が得られる。しかし、下部マントル圧力条件での変形実験の困難さにより実験的アプローチからその関係を議論した研究は少ない。LLSVPsが熱的特徴なのか組成的特徴なのかは現在時点で未だ不明だが、マントル対流による撹拌に耐えるためには、周辺マントルに対して約10%高い密度組成である必要があり、FeOや鉄に富むブリッジマナイトとペリクレースが構成鉱物の候補として考えられている。本研究ではFeO多結晶体について下部マントル圧力条件での大歪変形実験を行い、変形に伴うCPOの発達とすべり系を調査し、LLSVPsの地震波異方性との関係を考察することを目的とする。
本研究では回転式ダイヤモンドアンビルセル(rDAC)を用いて、FeO多結晶体のねじり試験を行った。試料には実験前後の歪測定のためのPtマーカーを集束イオンビーム(FIB)により蒸着することで、試料回転軸に平行に配置した。変形実験は、圧力8-63 GPa、温度300-600 K、歪速度一定の条件で、大型放射光施設SPring-8 BL47XUにて行った。変形実験前後のX線ラミノグラフィー法によるPt歪マーカーの観察、および変形実験中のその場X線回折測定(XRD)を行った。それぞれの測定におけるX線エネルギーは12 KeV、36 keVで行った。X線ラミノグラフィー法から得られたPtマーカーの再構成断面像から試料の歪を決定し、XRDより変形実験中のFeOの応力とCPOの決定を試みた。CPOの解析からは、B1構造を持つFeOが変形後に、[100]が圧縮軸方向に強く配向し、[111]が剪断方向に準平行に配向する組織が観察された。実験後、減圧し回収した試料の電子線後方散乱回折(EBSD)測定からCPOを決定し、XRD結果と比較を行った。得られた結果から、LLSVP構成鉱物のCPOの発達とLLSVPsの地震波異方性との関係を議論する。
本研究では回転式ダイヤモンドアンビルセル(rDAC)を用いて、FeO多結晶体のねじり試験を行った。試料には実験前後の歪測定のためのPtマーカーを集束イオンビーム(FIB)により蒸着することで、試料回転軸に平行に配置した。変形実験は、圧力8-63 GPa、温度300-600 K、歪速度一定の条件で、大型放射光施設SPring-8 BL47XUにて行った。変形実験前後のX線ラミノグラフィー法によるPt歪マーカーの観察、および変形実験中のその場X線回折測定(XRD)を行った。それぞれの測定におけるX線エネルギーは12 KeV、36 keVで行った。X線ラミノグラフィー法から得られたPtマーカーの再構成断面像から試料の歪を決定し、XRDより変形実験中のFeOの応力とCPOの決定を試みた。CPOの解析からは、B1構造を持つFeOが変形後に、[100]が圧縮軸方向に強く配向し、[111]が剪断方向に準平行に配向する組織が観察された。実験後、減圧し回収した試料の電子線後方散乱回折(EBSD)測定からCPOを決定し、XRD結果と比較を行った。得られた結果から、LLSVP構成鉱物のCPOの発達とLLSVPsの地震波異方性との関係を議論する。