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[SMP26-12] 固相多相岩石における拡散クリープと粒成長:それらに共通な拡散プロセス
キーワード:固相多相系、拡散、粒成長、拡散クリープ
地球内部は拡散クリープもしくは転位クリープで流動していると考えられている。転位クリープは鉱物の結晶軸選択配向により生じる地震波速度異方性が見られる領域で支配的とされてきたが、拡散クリープ下での配向も最近の実験により示され、従来の推定よりも広範囲にわたり拡散クリープが地球内部の流動を支配している可能性が出てきた[1][2][3]。拡散クリープにおいては、変形速度は一定差応力・温度下でも粒径に応じて大きく変化し、粒径は粒成長で決まると考えられる。ほとんどの岩石は固相多相系で、その粒成長速度は、第一相粒子の成長を阻害する第二相粒子のオストワルド成長速度で決定される。オストワルド成長には第一相粒子の変形が伴い、その変形に必要な拡散が粒成長速度を律速し得る。この仮説を最も拡散が遅いSiが第一相のフォルステライトのみに含まれるフォルステライト+ぺリクレース二相系の拡散クリープと粒成長の速度の比較により検証できると考えた。
高緻密細粒(~1 µm)フォルステライト+10 vol%ぺリクレース多結晶体を真空焼結法により準備し[4]、大気圧下、高温下(1200°C-1450°C)で本試料の粒成長および一軸圧縮変形実験が行われた。粒成長速度の時間依存性より粒成長は粒界拡散が律速していること、変形速度の応力および粒径依存性より粒界拡散クリープが確認された。得られた変形および粒成長速度に相当する粒界拡散係数を決定し、どちらもフォルステライト中のSiの粒界拡散に相当、拡散クリープと粒成長が共通の拡散メカニズムで生じていたことが明らかになった [5]。
ほとんどの固相多相岩石は、通常は主相としてケイ酸塩鉱物を含み、その中でSiは最も遅い拡散種である。このことから、地球内部の多くの場所で、単一の拡散種(ほとんどの場合、Siの拡散)が粒成長および拡散クリープの速度を決定していることが予想される。粒成長の結果である粒径と、その粒径になるまでの時間から拡散係数が分かる。したがって、拡散クリープ中の粘性率は粒径と時間で表すことができる。今回得られた知見を用いれば、沈み込み帯の粘性率も推定可能であると考えている。
引用文献: [1] Miyazaki et al., Nature 2013; [2] Maruyama & Hiraga, JGR 2017a; [3] Maruyama & Hiraga, JGR 2017b; [4] Koizumi et al., PCM 2010; [5] Okamoto & Hiraga, JGR 2022.
高緻密細粒(~1 µm)フォルステライト+10 vol%ぺリクレース多結晶体を真空焼結法により準備し[4]、大気圧下、高温下(1200°C-1450°C)で本試料の粒成長および一軸圧縮変形実験が行われた。粒成長速度の時間依存性より粒成長は粒界拡散が律速していること、変形速度の応力および粒径依存性より粒界拡散クリープが確認された。得られた変形および粒成長速度に相当する粒界拡散係数を決定し、どちらもフォルステライト中のSiの粒界拡散に相当、拡散クリープと粒成長が共通の拡散メカニズムで生じていたことが明らかになった [5]。
ほとんどの固相多相岩石は、通常は主相としてケイ酸塩鉱物を含み、その中でSiは最も遅い拡散種である。このことから、地球内部の多くの場所で、単一の拡散種(ほとんどの場合、Siの拡散)が粒成長および拡散クリープの速度を決定していることが予想される。粒成長の結果である粒径と、その粒径になるまでの時間から拡散係数が分かる。したがって、拡散クリープ中の粘性率は粒径と時間で表すことができる。今回得られた知見を用いれば、沈み込み帯の粘性率も推定可能であると考えている。
引用文献: [1] Miyazaki et al., Nature 2013; [2] Maruyama & Hiraga, JGR 2017a; [3] Maruyama & Hiraga, JGR 2017b; [4] Koizumi et al., PCM 2010; [5] Okamoto & Hiraga, JGR 2022.