日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP27] 鉱物の物理化学

2023年5月26日(金) 09:00 〜 10:15 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:柿澤 翔(高輝度光科学研究センター)、萩原 雄貴(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、大平 格(学習院大学 理学部 化学科)、座長:柿澤 翔(高輝度光科学研究センター)、萩原 雄貴(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

10:00 〜 10:15

[SMP27-05] ナトリウムホウ酸塩水和物の安定性

*興野 純1、西保 亘1 (1.筑波大学生命環境系地球進化科学専攻)

キーワード:Borax Na2B4O5(OH)4・8H2O、基本構造単位、熱分析、X線回折、量子化学計算

大陸の成長とホウ素循環によって,大陸地殻のホウ素濃度は上昇している.ホウ酸の基本構造単位(Fundamental Building Block; FBB)は変化に富むため,大陸衝突イベントに伴って新たなホウ素鉱物が形成され,それによってホウ素鉱物の種類は増加している.しかし,ホウ酸塩のFBBがそのような高温高圧環境に晒されることによって,実際に構造が変化するか実験によって明らかにされてはいない.そこで,本研究では最も代表的なホウ酸塩鉱物の一つであるborax [Na2B4O5(OH)4・8H2O]に対して,様々な熱水実験や高温実験を実施し,熱分析,粉末X線回折,単結晶X線回折,量子化学計算を用いて, FBBの変化と相変化の関係性について調べた.実験の結果,熱水環境においてboraxは極めて安定であることが分かった.また,温度上昇によって,boraxの結晶構造はb軸方向に膨張したが,FBBにはほとんど変化が起こらなかった.しかし,boraxのFBBは600℃の高温で変化し,650℃でさらに別のFBBに変化した.また,これらのFBBはエネルギー的に不安定な配置であることが分かった.したがって,高温環境ではホウ酸塩のFBBが変化しやすい配置になるため,ホウ素鉱物は高温環境で形成されやすいことが推測された.