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[SMP27-P04] Portlandite[Ca(OH)2]の気固炭酸塩化プロセスの解明
キーワード:Portlandite、炭酸カルシウム、炭酸塩化、XRD、FT-IR
Portlandite[Ca(OH)₂]は水酸化カルシウムであり,生石灰(CaO)が水と反応することにより生成される鉱物である.Portlanditeは典型的な酸塩基反応によって空気中のCO2と炭酸塩化し,炭酸カルシウム(CaCO3)と水(H₂O)に変化することで知られている.Portlanditeはコンクリートやモルタルに含まれる物質であり,その量の膨大さと高いCO2吸収ポテンシャルから,CO2吸収・固定材として実用化が期待されている.
Portlanditeの炭酸塩化はRH(相対湿度)に依存するが,反応時に形成されるCaCO3多形や炭酸塩化メカニズムについては不明な点が多い.そこで本研究では,portlanditeが様々な環境下で炭酸塩化する過程を,気固炭酸塩化,飽和炭酸水蒸発実験の二つの実験を実施し,放射光X線回折(XRD),赤外線吸収分光(FT-IR),走査型電子顕微鏡観察(SEM),透過型電子顕微鏡観察(TEM)を用いて,明らかにした.
気固炭酸塩化実験から,RH0%では21日間のCO2暴露を行ってもCaCO3は形成されなかった.これによって,portlanditeの気固炭酸塩化には湿潤環境が不可欠であることが示された.RH30%ではCO2暴露時間が24時間で比較的微量のcalciteが形成され,湿度が上昇すると形成されるcalciteの量は増加した.一方,CO2暴露時間が24時間,RH50-60%ではaragoniteが,RH50-80%では微量のvateriteが形成された.TEM観察の結果から,RH60%でCO2暴露時間が24時間の試料には,calciteの試料表面に微小なaragoniteの被覆が観察され,この形成メカニズムは,炭酸塩化によって形成されたcalciteの表面が湿潤環境で一度溶解し,そこへaragoniteが再沈殿したものと推測された.また,飽和炭酸水蒸発実験からは,蒸発速度の変化によって,calciteだけでなくaragoniteも形成されることが確認された.
本研究によって,portlanditeの気固炭酸塩化は,湿度が低く水の蒸発速度が速い場合はcalciteが,湿度が高く水分子の蒸発速度が遅い場合はcalciteだけでなく,calciteの表面が溶解することによってaragonite粒子が再沈殿することが明らかになった.
Portlanditeの炭酸塩化はRH(相対湿度)に依存するが,反応時に形成されるCaCO3多形や炭酸塩化メカニズムについては不明な点が多い.そこで本研究では,portlanditeが様々な環境下で炭酸塩化する過程を,気固炭酸塩化,飽和炭酸水蒸発実験の二つの実験を実施し,放射光X線回折(XRD),赤外線吸収分光(FT-IR),走査型電子顕微鏡観察(SEM),透過型電子顕微鏡観察(TEM)を用いて,明らかにした.
気固炭酸塩化実験から,RH0%では21日間のCO2暴露を行ってもCaCO3は形成されなかった.これによって,portlanditeの気固炭酸塩化には湿潤環境が不可欠であることが示された.RH30%ではCO2暴露時間が24時間で比較的微量のcalciteが形成され,湿度が上昇すると形成されるcalciteの量は増加した.一方,CO2暴露時間が24時間,RH50-60%ではaragoniteが,RH50-80%では微量のvateriteが形成された.TEM観察の結果から,RH60%でCO2暴露時間が24時間の試料には,calciteの試料表面に微小なaragoniteの被覆が観察され,この形成メカニズムは,炭酸塩化によって形成されたcalciteの表面が湿潤環境で一度溶解し,そこへaragoniteが再沈殿したものと推測された.また,飽和炭酸水蒸発実験からは,蒸発速度の変化によって,calciteだけでなくaragoniteも形成されることが確認された.
本研究によって,portlanditeの気固炭酸塩化は,湿度が低く水の蒸発速度が速い場合はcalciteが,湿度が高く水分子の蒸発速度が遅い場合はcalciteだけでなく,calciteの表面が溶解することによってaragonite粒子が再沈殿することが明らかになった.