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[SSS06-P12] 稠密地震観測に基づく熊本地震の中規模余震破壊伝播方向推定
キーワード:破壊伝播指向性
地震は断層が滑ることによって発生するが,震源からどのようにすべりが断層面上を広がっていくのかは地震の発生機構を知るうえで重要な問題である. 大地震の破壊伝播方向は, 震源過程解析の中の1つの情報として比較的古くから求められている. 近年,稠密な地震観測によって, 大地震だけではなく日本列島内陸部の小・中規模地震についても破壊伝播方向を推定する試みがなされている. しかし, 横ずれ地震発生領域において詳しく調べた例は少ない. そこで, 本研究では2016年熊本地震(M7.3)の1つの余震に対して, 破壊伝播方向の推定を行う.
片方向への(ユニラテラルな)破壊伝播によって励起されるP波パルスの時間幅は, 理論的に破壊が伝播する方位と観測点方位の差によって変動することが知られている. このことから, 震源に対する様々な位置の地震観測点において, パルスの時間幅を計測し, その分布から破壊伝播方向の検出を試みる. 対象とする地震は2022年6月26日に発生したM 4.7の地震であり, その周囲では稠密な地震観測が行われている. 対象地震から震源間距離0.5km以内で発生した, 同年5月31日のM 3.8,同年6月27日のM 1.4をリファレンスとして解析を行う. リファレンス地震に対する対象地震のパルス時間幅を求め, その特徴を調べた.
時間幅を計測した結果, 震央から南西の方向にパルス幅が非常に狭い直線状の領域があり, 破壊伝播方向は南西方向であると推定された. その破壊伝播方向は,発振機構から求められる, この地震の断層の走向と概ね平行であり,地表活断層の走向とも整合的であった. 本研究の方法によって発振機構解では決定できない地震断層面と破壊伝播方向をある程度特定できることが分かった. 一方で, パルス幅が非常に狭い観測点は破壊伝播方向と直交する南東方向にもいくつかあることや, 破壊伝播方向と逆方向に現れるはずの時間幅が非常に広い領域を明瞭には確認できないことなど, 片方向破壊伝播の断層モデルでは説明がつかない複雑な破壊伝播過程である可能性も示唆され, 今後の検討課題である.
片方向への(ユニラテラルな)破壊伝播によって励起されるP波パルスの時間幅は, 理論的に破壊が伝播する方位と観測点方位の差によって変動することが知られている. このことから, 震源に対する様々な位置の地震観測点において, パルスの時間幅を計測し, その分布から破壊伝播方向の検出を試みる. 対象とする地震は2022年6月26日に発生したM 4.7の地震であり, その周囲では稠密な地震観測が行われている. 対象地震から震源間距離0.5km以内で発生した, 同年5月31日のM 3.8,同年6月27日のM 1.4をリファレンスとして解析を行う. リファレンス地震に対する対象地震のパルス時間幅を求め, その特徴を調べた.
時間幅を計測した結果, 震央から南西の方向にパルス幅が非常に狭い直線状の領域があり, 破壊伝播方向は南西方向であると推定された. その破壊伝播方向は,発振機構から求められる, この地震の断層の走向と概ね平行であり,地表活断層の走向とも整合的であった. 本研究の方法によって発振機構解では決定できない地震断層面と破壊伝播方向をある程度特定できることが分かった. 一方で, パルス幅が非常に狭い観測点は破壊伝播方向と直交する南東方向にもいくつかあることや, 破壊伝播方向と逆方向に現れるはずの時間幅が非常に広い領域を明瞭には確認できないことなど, 片方向破壊伝播の断層モデルでは説明がつかない複雑な破壊伝播過程である可能性も示唆され, 今後の検討課題である.