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[SSS07-P01] 爆発震源とsingle force 型震源 によるP波励起の違いについて
キーワード:シングルフォース震源、2022年トンガ,フンガ火山噴火
2022年 フンガ・トンガ 火山噴火時には世界各地で遠地P波が観測された。噴火直後から震源メカニズムの推定が行われてきたが、当初その解は研究によりまちまちであった (e.g., Thurin et al. 2022, Garza-Girón et al. 2023)。現在では観測波形を説明するには、鉛直下向きの力が卓越するが、爆発震源の成分も必要だと考えられている。この混乱の一因は純粋にGreen関数の数値計算に関する技術的な問題であった。加えてGreen関数の計算の振る舞いに関する直感が働きづらかったために、爆発震源とsingle force 震源による遠地P波の励起に関する自由境界表面の影響の現れ方の違いを考慮できていなかった点もその原因に挙げられる。本発表では波線理論に基づき、自由境界表面の影響を評価し、爆発震源とsingle force source型力源を遠地P波から区別することは可能であるかについて議論していく。
ここでは半無限媒質中のP波の励起を考える。まず簡単のため流体を考え、表面は自由境界の状況を満たしている場合を考える。爆発震源が波長に比べて十分に浅い深さでP波を励起する場合には、境界条件を満たすためにP波は励起されない。波線理論で考えると、自由境界表面での反射係数が-1となるため、下向きに放射されたP波と地表反射が逆位相になるために完全に打ち消し合っていると解釈できる。Single force震源を考える場合には、上向きに放射されるP波と下向きに放射されるP波の極性が反転するため、反射波と直達波は同位相となり強め合う。弾性体に対しても同様の議論が成り立ち、爆圧震源の場合には遠地P波の励起効率は悪くなり、single force source型震源を考える場合には、遠地P波が卓越する。実際、観測波形を見ると、遠地P波の振幅が大きく鉛直下向きのsingle force による励起と調和的である。今後噴火の推移を議論する上で爆発成分とsingle force 成分を分離することは重要である。表面波とP波のエネルギー比はその大きな手がかりとなるだろう。
ここでは半無限媒質中のP波の励起を考える。まず簡単のため流体を考え、表面は自由境界の状況を満たしている場合を考える。爆発震源が波長に比べて十分に浅い深さでP波を励起する場合には、境界条件を満たすためにP波は励起されない。波線理論で考えると、自由境界表面での反射係数が-1となるため、下向きに放射されたP波と地表反射が逆位相になるために完全に打ち消し合っていると解釈できる。Single force震源を考える場合には、上向きに放射されるP波と下向きに放射されるP波の極性が反転するため、反射波と直達波は同位相となり強め合う。弾性体に対しても同様の議論が成り立ち、爆圧震源の場合には遠地P波の励起効率は悪くなり、single force source型震源を考える場合には、遠地P波が卓越する。実際、観測波形を見ると、遠地P波の振幅が大きく鉛直下向きのsingle force による励起と調和的である。今後噴火の推移を議論する上で爆発成分とsingle force 成分を分離することは重要である。表面波とP波のエネルギー比はその大きな手がかりとなるだろう。