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[SSS09-07] 2022年6月能登地方の地震による珠洲市の地震被害と臨時地震観測
キーワード:2022年能登地方の地震、珠洲市、地震被害、臨時地震観測
2022年6月19日15時8分に能登半島北東部でマグニチュード5.4の地震が発生し,石川県珠洲市のK-NET正院(ISK002)では最大震度となる震度6弱を記録した.この地震では,同市内で建物外壁・瓦の落下,鳥居・墓石・ブロック塀の転倒,斜面崩壊,水道管破裂,液状化による噴砂等が生じており,負傷者も出ている.本研究では,同地震による被害状況の調査を実施するともに,墓石やブロック塀の被害が多数見られた正院地区を中心に計6点の臨時地震観測を行い,余震記録に見られる地震動特性について検討を行ったので報告する.
珠洲市内に設置した臨時地震観測点は,ISK002 が位置する正院地区の4点(ISK002付近の民家,高福寺,西光寺,千光寺),野々江町の1点(妙珠寺),飯田町の1点(春日神社),以上の計6点である.地震計は応用地質のMcSEIS-AT(3ch)(センサーは固有周波数約2Hzの速度計)を各地点の建物の軒下(犬走り)に設置した.いずれの観測点も屋根がかかっており,少々の雨は地震計にかからない位置となっている.観測は7月初めから実施したが,当初AC電源が利用できず,地震計の内蔵電源(持続時間約2日)と外部電源(カーバッテリー等)が枯渇するトラブルが続いた.その後,所有者の協力により4点でAC電源が得られ,他の2点もソーラーパネルと並列したカーバッテリーを接続し,観測を継続している.
2023年1月8日時点(直近の記録回収日)で小地震が多数観測されているが,6観測点で記録がある地震のうちマグニチュード3.5以上の地震は10個にとどまる.観測された速度波形の水平成分に見られる特徴としては,正院地区の4点は妙珠寺や春日神社よりも振幅が大きいこと,特に西光寺の最大振幅が大きいことがあげられる.また同波形のフーリエスペクトルを比較すると, ISK002付近の民家では1Hz付近の振幅が他地点よりも大きいこと,春日神社では2~3Hzにかけて他地点よりも振幅が大きいことがあげられる.明治時代の地形図によれば,ISK002付近および春日神社の観測点はかつて田んぼであったことがわかる.岩田ら(2022)が微動アレイ観測より推定した地盤構造モデルにおいても,ISK002 付近の表層には深さ45m程度までVs160m/sの沖積層があることと,春日神社ではVs80m/sの低速度層が厚さ10mほど堆積していることが示されており,地震波形に見られる特徴と調和的である.
本研究では,主に科研費特別研究促進費「能登半島北東部において継続する地震活動に関する総合調査」(22K19949)の支援を頂きました.その他,科研費基盤研究(19H02287, 20K04663, 21K04585)の支援を頂きました.研究の一部は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の支援を頂きました.現地での観測では,珠洲市のみなさまより多大なご協力を頂きました.東京大学地震研究所三宅弘恵先生,京都大学防災研究所岩田知孝先生,浅野公之先生からは研究を進める上で多くのご助言とご支援を頂きました.記して感謝申し上げます.
珠洲市内に設置した臨時地震観測点は,ISK002 が位置する正院地区の4点(ISK002付近の民家,高福寺,西光寺,千光寺),野々江町の1点(妙珠寺),飯田町の1点(春日神社),以上の計6点である.地震計は応用地質のMcSEIS-AT(3ch)(センサーは固有周波数約2Hzの速度計)を各地点の建物の軒下(犬走り)に設置した.いずれの観測点も屋根がかかっており,少々の雨は地震計にかからない位置となっている.観測は7月初めから実施したが,当初AC電源が利用できず,地震計の内蔵電源(持続時間約2日)と外部電源(カーバッテリー等)が枯渇するトラブルが続いた.その後,所有者の協力により4点でAC電源が得られ,他の2点もソーラーパネルと並列したカーバッテリーを接続し,観測を継続している.
2023年1月8日時点(直近の記録回収日)で小地震が多数観測されているが,6観測点で記録がある地震のうちマグニチュード3.5以上の地震は10個にとどまる.観測された速度波形の水平成分に見られる特徴としては,正院地区の4点は妙珠寺や春日神社よりも振幅が大きいこと,特に西光寺の最大振幅が大きいことがあげられる.また同波形のフーリエスペクトルを比較すると, ISK002付近の民家では1Hz付近の振幅が他地点よりも大きいこと,春日神社では2~3Hzにかけて他地点よりも振幅が大きいことがあげられる.明治時代の地形図によれば,ISK002付近および春日神社の観測点はかつて田んぼであったことがわかる.岩田ら(2022)が微動アレイ観測より推定した地盤構造モデルにおいても,ISK002 付近の表層には深さ45m程度までVs160m/sの沖積層があることと,春日神社ではVs80m/sの低速度層が厚さ10mほど堆積していることが示されており,地震波形に見られる特徴と調和的である.
本研究では,主に科研費特別研究促進費「能登半島北東部において継続する地震活動に関する総合調査」(22K19949)の支援を頂きました.その他,科研費基盤研究(19H02287, 20K04663, 21K04585)の支援を頂きました.研究の一部は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の支援を頂きました.現地での観測では,珠洲市のみなさまより多大なご協力を頂きました.東京大学地震研究所三宅弘恵先生,京都大学防災研究所岩田知孝先生,浅野公之先生からは研究を進める上で多くのご助言とご支援を頂きました.記して感謝申し上げます.