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[SSS10-P01] 福島県沖2021年M7.3, 2022年M7.4地震発生域における地震活動解析
キーワード:b値、p値、Z値、応力状態、スラブ内地震
福島県沖では2021年2月13日にM7.3のスラブ内地震が発生し、2022年3月16日には、2021年M7.3地震の震源近傍においてM7.4のスラブ内地震が発生している。これらの地震に伴い、福島県沖では顕著な地震活動の増加が確認されている(地震調査研究推進本部、2021, 2022)。また、宮城県沖においても2021年3月20日にM6.9,5月1日にM6.8のプレート境界型地震が発生している。一連の地震は、2011年東北地方太平洋沖地震のすべり域のdown-dip側に位置しており、東北地震による応力擾乱により生じたものと考えられる。本研究では、地震活動が活発な福島・宮城県沖におけるプレート沈み込み帯からスラブ内において、特に福島県沖M7.3,M7.4地震前後の期間に注目し、Gutenberg-Richter則のb値 (Gutenberg and Richter 1944)、大森宇津の余震減衰パラメタのp値 (Utsu 1961)、地震活動度を表す指標のZ値(Wiemer and Wyss 1994)についての解析を行い、その時空間変化を調べた。解析においては、プレート境界からの深さに応じて領域を設定し、浅部側(プレート境界近傍)、深部側(スラブ内)のそれぞれで解析を行った。解析の結果、1) 解析期間を通じ、深部側のM7.3、M7.4地震震源域において顕著にb値が低下(b ~ 0.6)していること、2) M7.3,M7.4の両地震ともに、浅部側に比べて深部側で余震の減衰が緩やか(p < 1.0)であること、3)深部側では2021年M7.3地震発生の2年ほど前にかけてz値が上昇すること(静穏化の発生)、などが明らかになった.これらの結果は、地震活動パラメタの変化が、2011年東北地方太平洋沖地震による本震および粘弾性緩和に伴う応力蓄積(特に深部側では粘弾性の寄与が大きい可能性)、及び間隙流体圧の変動に伴う地殻強度の変動と関連していることを示唆する。