10:45 〜 12:15
[SSS11-P05] 後発地震情報の認知度と対応行動に関する市民意識調査
キーワード:後発地震情報、的中率、対応行動
2022年12月16日から運用が開始された北海道・三陸沖後発地震注意情報の認知度と,このような不確実性の高い情報を受けた場合の対応行動についての市民意識調査を行った.調査は2023年1月に実施し,インターネット調査会社にモニター登録している北海道6都市圏(札幌,旭川,函館,苫小牧,帯広,釧路)に在住の成人に回答を求めた.各都市圏300名(男性150 名,女性150 名)ずつ計1,800名で調査を実施した.
北海道・三陸沖後発地震注意情報の認知度については,「知らない」が33.1%,「耳にしたことはあるが,具体的にどのような情報かはわからない」が32.4%,「テレビ番組の解説などで,どのような情報か聞いたことがある」が21.9%,「インターネットなどで確認し,よく知っている」が12.6%となり,この情報の認知度は現時点では低かった.
次に,地震注意情報が発表されたあと1週間以内に大地震が起こる確率がわかっていた場合に,典型的な7つの対応行動を起こすか否かを,いくつかの想定確率を示して聞いた.
まず「50 %の確率で大地震が起こる」という条件では,「地震が起きたときのことついて家族と話し合う」が60.6%,「非常持ち出し品の確認をする」が64.3%,「食料や燃料を買い込む」が61.7%と高かった.また,「自宅の中の安全な場所で寝る」は36.2%であった.それらに比較すると「地域の避難所へ行く」は19.1%,「近くに住む親戚や友人の家に避難する」7.9%,「会社や学校は休む」11.8%となり,社会的な影響が大きい行動をとる人は少ない傾向にあった.
次に「10 %の確率で大地震が起こる」という条件では,「地震が起きたときのことついて家族と話し合う」が36.7%,「非常持ち出し品の確認をする」が41.2%,「食料や燃料を買い込む」が38.4%,「自宅の中の安全な場所で寝る」は18.4%となって,50%と高い発生確率の場合に比べてほぼ半減している.また社会的な影響が大きい行動である「地域の避難所へ行く」は4.3%,「近くに住む親戚や友人の家に避難する」2.2%,「会社や学校は休む」3.0%となって大きく減少していた.
さらに現実の北海道・三陸沖後発地震注意情報の運用状況に近い「1 %の確率で大地震が起こる」という条件では,「地震が起きたときのことついて家族と話し合う」が24.9%,「非常持ち出し品の確認をする」が21.4%,「食料や燃料を買い込む」が14.7%,「自宅の中の安全な場所で寝る」は10.4%となり,普段の地震対策の再確認として想定される,負担が小さい行動でも実施率が大きく低下していた.社会的な影響が大きい「地域の避難所へ行く」は2.7%,「近くに住む親戚や友人の家に避難する」1.4%,「会社や学校は休む」1.7%で大きく減少しているが,無視できるほど小さい数字にならないことは注目される.確率が低くとも負担が大きい行動を選択する市民が存在することを示唆し,身近にこのような行動をとる人がいれば周囲に影響が広まる可能性がある.
地震予知情報,後発地震情報を活用するためには,地震の予知率(見逃し)のみならず,情報の的中率(空振り)を考慮した対応行動を決めることが必要である.南海トラフ地震臨時情報から的中率を意識した行動指針の策定が検討されるようになり,北海道・三陸沖後発地震注意情報でさらに明確に的中率が低い情報であることが示されている.今回の調査では,地震情報への対応行動のうち,たとえ空振りになっても損失が少ないものでも,的中率が低いと見込まれる場合には対応しないという回答が多かった.後発地震情報を効果的に活用していくためには,減災効果が大きく,対応行動の負担の小さい行動を推奨していく仕組みが必要である.
北海道・三陸沖後発地震注意情報の認知度については,「知らない」が33.1%,「耳にしたことはあるが,具体的にどのような情報かはわからない」が32.4%,「テレビ番組の解説などで,どのような情報か聞いたことがある」が21.9%,「インターネットなどで確認し,よく知っている」が12.6%となり,この情報の認知度は現時点では低かった.
次に,地震注意情報が発表されたあと1週間以内に大地震が起こる確率がわかっていた場合に,典型的な7つの対応行動を起こすか否かを,いくつかの想定確率を示して聞いた.
まず「50 %の確率で大地震が起こる」という条件では,「地震が起きたときのことついて家族と話し合う」が60.6%,「非常持ち出し品の確認をする」が64.3%,「食料や燃料を買い込む」が61.7%と高かった.また,「自宅の中の安全な場所で寝る」は36.2%であった.それらに比較すると「地域の避難所へ行く」は19.1%,「近くに住む親戚や友人の家に避難する」7.9%,「会社や学校は休む」11.8%となり,社会的な影響が大きい行動をとる人は少ない傾向にあった.
次に「10 %の確率で大地震が起こる」という条件では,「地震が起きたときのことついて家族と話し合う」が36.7%,「非常持ち出し品の確認をする」が41.2%,「食料や燃料を買い込む」が38.4%,「自宅の中の安全な場所で寝る」は18.4%となって,50%と高い発生確率の場合に比べてほぼ半減している.また社会的な影響が大きい行動である「地域の避難所へ行く」は4.3%,「近くに住む親戚や友人の家に避難する」2.2%,「会社や学校は休む」3.0%となって大きく減少していた.
さらに現実の北海道・三陸沖後発地震注意情報の運用状況に近い「1 %の確率で大地震が起こる」という条件では,「地震が起きたときのことついて家族と話し合う」が24.9%,「非常持ち出し品の確認をする」が21.4%,「食料や燃料を買い込む」が14.7%,「自宅の中の安全な場所で寝る」は10.4%となり,普段の地震対策の再確認として想定される,負担が小さい行動でも実施率が大きく低下していた.社会的な影響が大きい「地域の避難所へ行く」は2.7%,「近くに住む親戚や友人の家に避難する」1.4%,「会社や学校は休む」1.7%で大きく減少しているが,無視できるほど小さい数字にならないことは注目される.確率が低くとも負担が大きい行動を選択する市民が存在することを示唆し,身近にこのような行動をとる人がいれば周囲に影響が広まる可能性がある.
地震予知情報,後発地震情報を活用するためには,地震の予知率(見逃し)のみならず,情報の的中率(空振り)を考慮した対応行動を決めることが必要である.南海トラフ地震臨時情報から的中率を意識した行動指針の策定が検討されるようになり,北海道・三陸沖後発地震注意情報でさらに明確に的中率が低い情報であることが示されている.今回の調査では,地震情報への対応行動のうち,たとえ空振りになっても損失が少ないものでも,的中率が低いと見込まれる場合には対応しないという回答が多かった.後発地震情報を効果的に活用していくためには,減災効果が大きく,対応行動の負担の小さい行動を推奨していく仕組みが必要である.