日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS13] 活断層と古地震

2023年5月22日(月) 10:45 〜 12:00 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、佐藤 善輝(産業技術総合研究所 地質情報研究部門 平野地質研究グループ)、白濱 吉起(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター活断層火山研究部門活断層評価研究グループ)、安江 健一(富山大学)、座長:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、安江 健一(富山大学)

10:45 〜 11:00

[SSS13-01] 高知県の江戸時代の地震史料の検討

*服部 健太郎1 (1.関西大学)

キーワード:歴史地震、高知県、1707年宝永地震、1791年沖縄の津波、1854年安政南海地震

地震史料集に掲載された記録を元に,歴史地震の研究が進展している.史料集に掲載されていない記録・掲載されているが原史料の検討が十分ではない記録の検討も必要である.

本研究では,高知県の地震・津波史料に注目する.検討対象をFig. 1に記した.

まず,国立天文台所蔵「七曜御暦」を紹介する.当時の土佐の学者谷秦山(1663-1718)による記録である.地震史料集には掲載されていない.自筆の暦の中に,天文や気象の記述に加え,宝永地震の本震及びその後の余震の記述がある.有感地点は,当時谷秦山が謹慎していた, 香美市土佐山田 (現在)であると思われる.『増訂大日本地震史料』に掲載されている『宮地日記』の有感地震と日時が一致する地震もいくつか見られる(Table 1).

他,『宇佐町誌』掲載の「宮地静軒介行日記」についても検討する.『増訂大日本地震史料』掲載の『宮地日記』と同一の原史料からの翻刻と思われる.『宮地日記』著者が正徳元年から享保三年にかけて現在の土佐市宇佐町に滞在していた時の分の抄出である.『増訂大日本地震史料』掲載の記述と大半一致する一方,史料集に見られない記載もある.『宮地日記』原本の所在が不明である現在,検討の価値があると思われる.

その他,1854年安政南海地震に関する香南市の記録,1791年沖縄の津波に関する「五藤家文書」についても検討する.