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[SSS13-P14] 津軽山地西縁断層帯南部の地下構造と平均変位速度の推定
キーワード:津軽山地西縁断層帯、反射法地震探査、火砕流堆積物
津軽山地西縁断層帯(南部)(以下,津軽山地西縁断層帯南部と呼ぶ)は,津軽平野と津軽山地を区切る概ね南北走向で東傾斜の逆断層である.津軽山地西縁断層帯は北部と南部に区分され,北部においては変動地形に関する研究や構造探査が行われてきた(例えば,宮内・他,1999).しかし,これまでに津軽山地西縁断層帯南部において報告されている平均変位速度は,変位基準の判定や変位量の見積もりに関する根拠が明らかにされていないため,これをもって本断層帯南部の平均変位速度を特定することはできないとされている(地震調査研究推進本部地震調査委員会,2004).
本研究では,津軽山地西縁断層帯南部の傾斜や変位を明らかにすることと断層低下側の地下地質を把握することを目的として,津軽山地西縁断層帯南部の傾斜やずれの向き及び活動性を明らかにするため,低位段丘面に変形が認められる断層中部の黒石市高舘地区,同市竹鼻地区及び青森市本郷地区を対象として以下の調査を実施した.
断層を横断する測線を設定して,P波及びS波を震源とする反射法地震探査を行い,それぞれ深度1.5 km以浅及び深度250 m以浅の地下構造を推定した.断層の低下側の反射法地震探査測線上において掘削深度80 mのボーリングを1孔掘削し,地層の分布を把握した.断層の隆起側及び低下側でボーリング・ピット・露頭調査を実施し,地層の分布及び変形を確認した.これらの結果に基づいて,断層の地下形状を推定し,変位基準の落差を推定した.
その結果,津軽山地西縁断層帯南部の主断層は東に60˚程度で傾斜する東側隆起の逆断層であり,浅部では西傾斜のバックスラストを伴う幅広い撓曲変形を呈する可能性が高いことがわかった.十和田大不動火砕流堆積物の落差と噴出時期(36ka; 工藤・他,2019)から,主断層の平均変位速度(上下成分)として約0.3〜0.4 mm/yr(< 0.6 mm/yr)の値が見積もられた.
参考文献
地震調査研究推進本部地震調査委員会,「津軽山地西縁断層帯の評価」,18p,2004.
工藤 崇・内野隆之・濱崎聡志,十和田湖地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),産総研地質調査総合センター,192p,2019.
宮内崇裕・青森県主要起震断層調査委員会・飛田健二・野溝昌宏・斉藤秀樹,津軽山地西縁断層帯の詳細位置と地下構造.活断層研究,18, 14-22, 1999.
本研究では,津軽山地西縁断層帯南部の傾斜や変位を明らかにすることと断層低下側の地下地質を把握することを目的として,津軽山地西縁断層帯南部の傾斜やずれの向き及び活動性を明らかにするため,低位段丘面に変形が認められる断層中部の黒石市高舘地区,同市竹鼻地区及び青森市本郷地区を対象として以下の調査を実施した.
断層を横断する測線を設定して,P波及びS波を震源とする反射法地震探査を行い,それぞれ深度1.5 km以浅及び深度250 m以浅の地下構造を推定した.断層の低下側の反射法地震探査測線上において掘削深度80 mのボーリングを1孔掘削し,地層の分布を把握した.断層の隆起側及び低下側でボーリング・ピット・露頭調査を実施し,地層の分布及び変形を確認した.これらの結果に基づいて,断層の地下形状を推定し,変位基準の落差を推定した.
その結果,津軽山地西縁断層帯南部の主断層は東に60˚程度で傾斜する東側隆起の逆断層であり,浅部では西傾斜のバックスラストを伴う幅広い撓曲変形を呈する可能性が高いことがわかった.十和田大不動火砕流堆積物の落差と噴出時期(36ka; 工藤・他,2019)から,主断層の平均変位速度(上下成分)として約0.3〜0.4 mm/yr(< 0.6 mm/yr)の値が見積もられた.
参考文献
地震調査研究推進本部地震調査委員会,「津軽山地西縁断層帯の評価」,18p,2004.
工藤 崇・内野隆之・濱崎聡志,十和田湖地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),産総研地質調査総合センター,192p,2019.
宮内崇裕・青森県主要起震断層調査委員会・飛田健二・野溝昌宏・斉藤秀樹,津軽山地西縁断層帯の詳細位置と地下構造.活断層研究,18, 14-22, 1999.