日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT40] 空中からの地球計測とモニタリング

2023年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (18) (オンラインポスター)

コンビーナ:小山 崇夫(東京大学地震研究所)、楠本 成寿(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/24 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[STT40-P03] 重力異常や重力偏差を用いた間隙率分布の推定手法

*楠本 成寿1 (1.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)

キーワード:間隙率、重力異常、重力偏差

本研究では,重力偏差を含めた広い意味での重力探査により,間隙率分布を推定する手法の提案を行う。

よく知られているように,土や砂には多数の間隙があり,一見密な岩石でも土や砂と大きく変わらない間隙率をもつこともある。地熱や石油,天然ガスなど様々な資源開発では,この間隙率の分布を知ることが重要である。間隙に水や空気,ガスなど低密度物質が充填された場合,間隙率の高い岩体は間隙率の低い岩体よりも低密度になり,低重力異常域形成の要因となる。一方,高密度物質が充填された場合,高間隙率岩体は周囲より高密度になり,高重力異常域形成の要因となる。

密度構造の推定には重力探査が有用である。しかしながら,重力探査によって推定された密度構造には,間隙率の概念はなく,推定された密度が予想される物質の標準的な値からどれだけずれているかが議論され,地下の状態が解釈されてきた。本研究では密度構造を間隙率と間隙に充填される物質により考察する。

間隙率の定義式に基づき,重力探査で推定される密度構造と間隙率の理論的関係を導いた。考慮したモデルは,次の3つである。1. 母岩とターゲット(重力異常の原因となっている物体)の構成物質が同じで,間隙に入る物質と母岩の密度差と間隙率分布が重力異常の原因となっているモデル 2. 母岩とターゲットはそれぞれ異なる間隙率をもつが,両者の構成物質と間隙に入る物質は同じであるモデル 3. 母岩とターゲットはそれぞれ異なる間隙率をもち,両者の構成物質と間隙に入る物質も異なるモデル。

発表ではこれらの密度構造と間隙率の関係式とモデル(1)の実フィールドへの適用例を示す。