10:45 〜 11:00
[STT44-01] 地震学・測地学データのベイズ逆解析―基底関数展開とガウス過程
★招待講演
固体地球物理学において、観測データから理論モデル(観測方程式)に基づき直接観測できない物理量を推定する逆解析が重要な役割を担っている。一般に、観測データの量には制約があり誤差が含まれるため、ベイズ推定に基づく逆解析が有効である。ベイズ推定では、推定量に対する先験情報を事前確率分布として表現し、データが与えられた下での事後確率分布を導出することで、推定値とその不確定性を評価する。本講演では、線形逆問題に対し事後分布を解析的に計算できる基底関数展開とガウス過程の二手法について、基本的な定式化と適用例を紹介し、両者の特徴を比較する。
基底関数展開では、推定量を固定された有限(M)個の基底関数展開の線形結合で表現することで、パラメタ空間上の有限次元の問題に帰着させる。モデル・パラメタに事前分布を設定し、観測データに対する尤度と組み合わせてモデル・パラメタの事後分布を導出することで、推定量の予測分布が計算される。
ガウス過程では、推定量に直接事前分布を設定するため、関数空間を扱う無限次元の問題となる。ただし、有限(N)個の観測データに対し有限次元の問題に帰着することが知られており、推定量の事後分布を導出できる。
本講演では、GNSS速度データからの歪み速度場推定(Okazaki et al., EPS, 2021)と地震のCMTデータからの応力場推定(Okazaki et al., JGR, 2022)を例に説明する。二手法の特徴について、計算量・モデル領域・超パラメタ・先験情報の四観点から比較する。特に計算量については、基底関数展開とガウス過程が各々モデル・パラメタ数Mとデータ数Nに依存するため、高次元モデルの解析においてはガウス過程が有効と考えられる。
基底関数展開では、推定量を固定された有限(M)個の基底関数展開の線形結合で表現することで、パラメタ空間上の有限次元の問題に帰着させる。モデル・パラメタに事前分布を設定し、観測データに対する尤度と組み合わせてモデル・パラメタの事後分布を導出することで、推定量の予測分布が計算される。
ガウス過程では、推定量に直接事前分布を設定するため、関数空間を扱う無限次元の問題となる。ただし、有限(N)個の観測データに対し有限次元の問題に帰着することが知られており、推定量の事後分布を導出できる。
本講演では、GNSS速度データからの歪み速度場推定(Okazaki et al., EPS, 2021)と地震のCMTデータからの応力場推定(Okazaki et al., JGR, 2022)を例に説明する。二手法の特徴について、計算量・モデル領域・超パラメタ・先験情報の四観点から比較する。特に計算量については、基底関数展開とガウス過程が各々モデル・パラメタ数Mとデータ数Nに依存するため、高次元モデルの解析においてはガウス過程が有効と考えられる。