09:00 〜 09:15
[SVC29-01] 霧島硫黄山南火口群における表面活動の長期的変化
キーワード:霧島硫黄山、空振、熱水活動
霧島硫黄山の南火口群では,2018年の水蒸気噴火以降活発な熱水・噴気活動が続いており,現在Y2a,Y2b,Y3の主に3つの噴出孔が活動している.最も活発なY2aでは湯だまりの形成とドライアップを長期的に繰り返しており,湯だまり期は熱水を噴水状に吹き上げる噴湯現象,渇水期は噴気活動が見られる.南火口群における表面活動の長期的変化を調べるため,空振(音波)・地震・映像観測とその解析を行った.空振と地震は硫黄山周辺に展開している九大臨時観測点のデータを使用し,映像は情報通信研究機構(NICT)が中心となって2022年9月より運用している監視カメラのデータを参照した.まず,空振のスペクトログラムとカメラ映像の比較より,噴湯現象に伴う卓越周波数~2 Hzの空振シグナルを確認した.2022年10月中旬以降,空振の2 Hzピークは消長を繰り返しており,火口における湯だまり形成と消失を反映していると考えられる.また,湯だまりが消失する前に,スペクトルピークが時間とともに上昇する現象(Gliding)が見られた.空振スペクトルのGlidingはマグマ噴火においていくつかの報告例があり,メカニズムを考えるうえで重要な情報になる.次に空振・地震のRMS振幅の時間変化とスペクトログラムを比較したところ,11月下旬に地震振幅の有意な増大が見られた.これはY2b内の新噴出孔形成に対応した活動と考えられる.これらの観測結果をもとに,①表面活動の長期的変化と火山活動との関係および②噴湯現象に伴う空振シグナルのメカニズムについて考察する.