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[SVC29-P04] 噴火の安定性における火道形状の影響
キーワード:火道流モデル、火道変形、噴火の推移
火道はマグマ溜まりと火口を繋ぐマグマの通り道であり,火山噴火の様式や爆発性を特徴づける様々なプロセスの発生場となる.これまでの多くの火道流モデル研究では,火道が変形しない剛体であるという仮定の下で,複雑な火道流ダイナミクスを明らかにしてきた.しかし,噴出物中における異質岩片の存在や,マイクロライト数密度を用いた火道半径の復元などによって,一つの噴火イベント中においても火道形状が不変ではないことが近年明らかにされつつある.また,数値的研究の側面からも,火道の粘弾性変形が非爆発的噴火の減衰振動状の噴出率に関与した可能性(Maeda ,2000; Chen et al., 2018)や,破砕後のマグマの流れによる火道削剥が爆発的噴火の末期に向けて増加する噴出率に関与した可能性(Wilson, 1980; Massaro et al., 2018)が示唆されている.特に,火山噴火の時間的推移のダイナミクスを議論するためには,火道形状が変化した場合における火道流ダイナミクスへの影響を考える必要がある.そこで,本研究では火道形状を変化させたときの火道流の安定性や,その時間発展を理解するために数値シミュレーションを実行した.
火道流の数値計算ではKozono and Koyaguchi(2009)に基づいた一次元定常火道流モデルを用いた.このモデルではマグマをH2O−メルト−結晶から成る3相混相流体として取り扱い,上昇マグマ中における減圧平衡発泡及び結晶化を考慮した.また,気相の鉛直方向への脱ガスや,破砕とそれに伴うマグマの流動様式の変化を取り入れることで,非爆発的噴火と爆発的噴火の遷移を表現した.この仮定の下で火道長と火道下端の圧力(マグマ溜まり圧力)を固定し,火道上端の境界条件を大気圧またはチョーキング条件とする二点境界値問題としてモデルを数値的に解いた.火道形状が変化したときの火道流の変化を系統的に調べるために,本研究では簡単のために火道を円筒形状とし,マグマ溜まり圧力を固定して火道半径aを変化させたときの噴出率qの変化を調べた.
数値計算の結果,マグマ溜まりの圧力が一定条件下において,円筒火道の火道半径と噴出率の関係の間には負性抵抗領域(dq/da < 0)が存在することが明らかになった.この結果は,火道半径が僅かに減少(増加)した場合,噴出率が増加(減少)し,火道削剥や過剰圧による火道粘弾性変形によって流れが急激に変化する可能性があることを示唆する.また,火道半径変化によって爆発的噴火と非爆発的噴火の遷移が発生し,噴出率が不連続に変化する場合があることが明らかになった.この噴出率の不連続な変化は火道変形の効果を促進する可能性がある.火道の断面形状によって,マグマが壁面から受ける抵抗は変化するためにアスペクト比の大きい断面形状を有するダイク状火道が流れにもたらす影響などを考慮することが課題である.
火道流の数値計算ではKozono and Koyaguchi(2009)に基づいた一次元定常火道流モデルを用いた.このモデルではマグマをH2O−メルト−結晶から成る3相混相流体として取り扱い,上昇マグマ中における減圧平衡発泡及び結晶化を考慮した.また,気相の鉛直方向への脱ガスや,破砕とそれに伴うマグマの流動様式の変化を取り入れることで,非爆発的噴火と爆発的噴火の遷移を表現した.この仮定の下で火道長と火道下端の圧力(マグマ溜まり圧力)を固定し,火道上端の境界条件を大気圧またはチョーキング条件とする二点境界値問題としてモデルを数値的に解いた.火道形状が変化したときの火道流の変化を系統的に調べるために,本研究では簡単のために火道を円筒形状とし,マグマ溜まり圧力を固定して火道半径aを変化させたときの噴出率qの変化を調べた.
数値計算の結果,マグマ溜まりの圧力が一定条件下において,円筒火道の火道半径と噴出率の関係の間には負性抵抗領域(dq/da < 0)が存在することが明らかになった.この結果は,火道半径が僅かに減少(増加)した場合,噴出率が増加(減少)し,火道削剥や過剰圧による火道粘弾性変形によって流れが急激に変化する可能性があることを示唆する.また,火道半径変化によって爆発的噴火と非爆発的噴火の遷移が発生し,噴出率が不連続に変化する場合があることが明らかになった.この噴出率の不連続な変化は火道変形の効果を促進する可能性がある.火道の断面形状によって,マグマが壁面から受ける抵抗は変化するためにアスペクト比の大きい断面形状を有するダイク状火道が流れにもたらす影響などを考慮することが課題である.