10:45 〜 12:15
[SVC29-P06] ペットボトルを用いたシングルフォースの測定のための準備
キーワード:火山噴火、シングルフォース、噴火地震、モデル実験、ジェット
はじめに
火山が大噴火した時に発生した地震波を解析すると、その震源が鉛直方向のシングルフォースであることがある(例えば、Kanamori et al., 1984による1980年5月18日のセントへレンズ山の噴火地震の解析例)。このシングルフォースは、噴火の際に噴出物が出るときの反力、つまりジェット推進力であると考えられ、このシングルフォースの解析をすることで、噴出物の量や噴出方法の解明、ひいては火山の噴火様式の推定につながる可能性がある(Brodsky et al., 1999)。
目的
質量放出率のゆらぎや噴出の仕方によって力Fが影響を受ける可能性があり、その結果、観測される地震波にも影響が波及する可能性がある。本研究の目的は、噴出ノズルの形状や噴流のソースの圧力や流体の性質によって、質量放出率のゆらぎや噴出の仕方がどのように変わるか、またその結果力Fがどのような影響を受けるかを実験的に調べることである。
理論的予察
観測された地震波をもとに解析した結果、三角パルス状の力Fが発生していたとする。
このとき、火口の面積をA、噴出物の密度と速度をρ,vとすると、噴出物の質量放出率は、ρAvと表せる。ここで、Brodsky et al. (1999)のように、力Fが噴出のジェットによる力で概ね説明できるとすると、その力は、ρAv^2と表せる。よって、噴出物の質量放出率をρ,v,Fのみで表すと、ρAF^ 1/2となる。
さて、この噴出物の質量放出率を時間積分し、重力加速度gを乗ずることで、質量の変動が地面に与える力を求めることができる。もしこの重力による項が、ジェットによる力の項より大きい或いは同程度である場合、最初の「Fが噴出のジェットによる力で概ね説明できる」という仮定に反することになる。Fのパルス幅を2τとすると、上記仮定を満たすためには噴出速度ピークがτg よりも十分大きい必要があり,現実的な速度を考えるとτが10 s程度以下である必要がある。
ペットボトルを用いた実験の準備(予備実験)と結果
予備実験として、ペットボトルから水を噴出しているときのペットボトル内の圧力の時間変化を確認した。実験方法は、ペットボトルに水を約1.5 L入れた状態で実験を開始した。エアーコンプレッサーから圧力制御バルブを通して大気圧より5気圧高い空気をペットボトルに送り込み、ペットボトル内の水を押し出した。ペットボトル内の圧力を圧力計で測定し、噴出の様子をビデオカメラで撮影した。その結果を図に示す。途中でペットボトル内の圧力が落ちる部分があるが、この現象の前後で噴水の噴出角が狭くなる様子が観測された。この時、ペットボトル内の水が少なくなり、ジェットの気液混合比が変わったと考えられ、シングルフォースにも何らかの影響を与えている可能性がある。
今後の実験に向けて
予備実験の結果を踏まえて、実験装置を設計・製作し、フォースセンサを用いてペットボトル噴水のシングルフォースを測定する準備を整えた。今後、噴出させるものの気液混合比や噴出口の大きさAを変えて実験を行う予定である。
火山が大噴火した時に発生した地震波を解析すると、その震源が鉛直方向のシングルフォースであることがある(例えば、Kanamori et al., 1984による1980年5月18日のセントへレンズ山の噴火地震の解析例)。このシングルフォースは、噴火の際に噴出物が出るときの反力、つまりジェット推進力であると考えられ、このシングルフォースの解析をすることで、噴出物の量や噴出方法の解明、ひいては火山の噴火様式の推定につながる可能性がある(Brodsky et al., 1999)。
目的
質量放出率のゆらぎや噴出の仕方によって力Fが影響を受ける可能性があり、その結果、観測される地震波にも影響が波及する可能性がある。本研究の目的は、噴出ノズルの形状や噴流のソースの圧力や流体の性質によって、質量放出率のゆらぎや噴出の仕方がどのように変わるか、またその結果力Fがどのような影響を受けるかを実験的に調べることである。
理論的予察
観測された地震波をもとに解析した結果、三角パルス状の力Fが発生していたとする。
このとき、火口の面積をA、噴出物の密度と速度をρ,vとすると、噴出物の質量放出率は、ρAvと表せる。ここで、Brodsky et al. (1999)のように、力Fが噴出のジェットによる力で概ね説明できるとすると、その力は、ρAv^2と表せる。よって、噴出物の質量放出率をρ,v,Fのみで表すと、ρAF^ 1/2となる。
さて、この噴出物の質量放出率を時間積分し、重力加速度gを乗ずることで、質量の変動が地面に与える力を求めることができる。もしこの重力による項が、ジェットによる力の項より大きい或いは同程度である場合、最初の「Fが噴出のジェットによる力で概ね説明できる」という仮定に反することになる。Fのパルス幅を2τとすると、上記仮定を満たすためには噴出速度ピークがτg よりも十分大きい必要があり,現実的な速度を考えるとτが10 s程度以下である必要がある。
ペットボトルを用いた実験の準備(予備実験)と結果
予備実験として、ペットボトルから水を噴出しているときのペットボトル内の圧力の時間変化を確認した。実験方法は、ペットボトルに水を約1.5 L入れた状態で実験を開始した。エアーコンプレッサーから圧力制御バルブを通して大気圧より5気圧高い空気をペットボトルに送り込み、ペットボトル内の水を押し出した。ペットボトル内の圧力を圧力計で測定し、噴出の様子をビデオカメラで撮影した。その結果を図に示す。途中でペットボトル内の圧力が落ちる部分があるが、この現象の前後で噴水の噴出角が狭くなる様子が観測された。この時、ペットボトル内の水が少なくなり、ジェットの気液混合比が変わったと考えられ、シングルフォースにも何らかの影響を与えている可能性がある。
今後の実験に向けて
予備実験の結果を踏まえて、実験装置を設計・製作し、フォースセンサを用いてペットボトル噴水のシングルフォースを測定する準備を整えた。今後、噴出させるものの気液混合比や噴出口の大きさAを変えて実験を行う予定である。