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[SVC30-P05] 霧島火山えびの高原硫黄山の湯だまりおよび湧水の近年の組成変化
キーワード:化学組成変化、えびの高原硫黄山、湯だまり
霧島火山のえびの高原硫黄山では2018年に水蒸気噴火が発生し、現在も活発な熱水活動と噴気活動が続いている。硫黄山周辺では、2015年から新たな噴気や湧水の出現などの熱水活動の活発化の兆候が観測され、その後,噴火に至ったものであった。2018年の噴火に伴い生じた湯だまりからは、現在も高温熱水の噴出が見られる。我々は、2016年から硫黄山周辺の湧水を継続的に採取し、その化学組成の変化を追っている。
我々の硫黄山における2022年の採水は4月と11月の2回に限られるが、何れも地震活動の活発化が見られた時期に重なる。2022年の2回の採水試料における硫黄山南湯だまりのCl/ SO4比は、2021年の採水試料の値に比べてきわめて大きなものとなっており、熱水活動に大きな変化が生じたと考えられる。2022年11月におけるCl/SO4モル比は約11であり、これまでの我々の観測における最高値である2019年1月のCl/SO4モル比の約2を大きく上回る。また、2022年に入ってCl濃度とF濃度は連動して大きな上昇を示したことから、地下深部からのマグマ揮発性成分の供給量増大が想定される。しかし、噴火活動に続く2018年から2019年の活動期にはCl濃度と良い相関を示していたAs濃度とB濃度は、今回はCl濃度と明瞭な相関があるようには見えない。したがって、今回の2022年の活発化においては、硫黄山山頂域へと供給される流体の形成過程は、噴火後の2018年から2019年当時とは異なっている可能性がある。
我々の硫黄山における2022年の採水は4月と11月の2回に限られるが、何れも地震活動の活発化が見られた時期に重なる。2022年の2回の採水試料における硫黄山南湯だまりのCl/ SO4比は、2021年の採水試料の値に比べてきわめて大きなものとなっており、熱水活動に大きな変化が生じたと考えられる。2022年11月におけるCl/SO4モル比は約11であり、これまでの我々の観測における最高値である2019年1月のCl/SO4モル比の約2を大きく上回る。また、2022年に入ってCl濃度とF濃度は連動して大きな上昇を示したことから、地下深部からのマグマ揮発性成分の供給量増大が想定される。しかし、噴火活動に続く2018年から2019年の活動期にはCl濃度と良い相関を示していたAs濃度とB濃度は、今回はCl濃度と明瞭な相関があるようには見えない。したがって、今回の2022年の活発化においては、硫黄山山頂域へと供給される流体の形成過程は、噴火後の2018年から2019年当時とは異なっている可能性がある。