11:30 〜 11:45
[SVC31-10] 水準測量によって測定された桜島火山の地盤上下変動(2022年11月測量の結果)
キーワード:桜島火山、精密水準測量、地盤上下変動
2019年度より開始された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」における課題「桜島火山における火山活動推移モデルの構築による火山噴火予測のための総合的観測研究」の一環として,2022年11月に桜島火山において一等水準測量の繰返し観測を実施した.本講演では,この測量の結果について報告する.
水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2路線に加え,2021年度に新設した鹿児島湾西部の大崎鼻GNSS点付設の水準点まで,および桜島北部の割石崎GNSS点付設の水準点までの枝線区間である.路線総延長は約23 kmであった.これらの路線を,2022年11月7日~18日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.測量における誤差は,1 km当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてそれぞれ±0.26 mm/kmおよび±0.25 mm/kmという結果となり,高精度の一等水準測量を行うことができた.
ハルタ山登山路線および北岳路線の2路線について,これまでの測量と同様に,桜島西岸の水準点BM.S.17を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を計算した.これを前回の2021年11月に行われた測量結果(山本・他,2022)と比較することで,2021年11月から2022年11月の期間の約1年間における地盤上下変動量を計算した.
計算された地盤上下変動量から,桜島中央部付近に比較的近い水準点において,地盤沈降が生じていることが確認された.ただし,その変動量は比較的に小さく,最大でも-3.6 mmであった.また,桜島北岸に比較的近い北岳路線の水準点においてはほとんど地盤上下変動が認められなかった.このことは桜島北岸において顕著な地盤上下変動が生じていない可能性を示唆しており,前々回から前回測量までの期間(2020年11月から2021年11月)の測量結果(山本・他,2022)に続き,2022年11月までの1年間においても姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおけるマグマの貯留量が小さい可能性が考えられる.
桜島中央部に比較的近い水準点においては若干の地盤沈降が認められたので,茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源解析を行った.測量を実施した水準点の空間分布が限られているうえに変動量も小さいため試行的な結果であるが,山体中央部直下のごく浅部(深さ約0.1 km)に減圧源(体積減少量約57万立方メートル)が推定された.2021年11月~2022年11月の期間,南岳直下のマグマ溜りにおいては減圧傾向であると考えられる.
水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2路線に加え,2021年度に新設した鹿児島湾西部の大崎鼻GNSS点付設の水準点まで,および桜島北部の割石崎GNSS点付設の水準点までの枝線区間である.路線総延長は約23 kmであった.これらの路線を,2022年11月7日~18日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.測量における誤差は,1 km当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてそれぞれ±0.26 mm/kmおよび±0.25 mm/kmという結果となり,高精度の一等水準測量を行うことができた.
ハルタ山登山路線および北岳路線の2路線について,これまでの測量と同様に,桜島西岸の水準点BM.S.17を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を計算した.これを前回の2021年11月に行われた測量結果(山本・他,2022)と比較することで,2021年11月から2022年11月の期間の約1年間における地盤上下変動量を計算した.
計算された地盤上下変動量から,桜島中央部付近に比較的近い水準点において,地盤沈降が生じていることが確認された.ただし,その変動量は比較的に小さく,最大でも-3.6 mmであった.また,桜島北岸に比較的近い北岳路線の水準点においてはほとんど地盤上下変動が認められなかった.このことは桜島北岸において顕著な地盤上下変動が生じていない可能性を示唆しており,前々回から前回測量までの期間(2020年11月から2021年11月)の測量結果(山本・他,2022)に続き,2022年11月までの1年間においても姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおけるマグマの貯留量が小さい可能性が考えられる.
桜島中央部に比較的近い水準点においては若干の地盤沈降が認められたので,茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源解析を行った.測量を実施した水準点の空間分布が限られているうえに変動量も小さいため試行的な結果であるが,山体中央部直下のごく浅部(深さ約0.1 km)に減圧源(体積減少量約57万立方メートル)が推定された.2021年11月~2022年11月の期間,南岳直下のマグマ溜りにおいては減圧傾向であると考えられる.