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[SVC31-P13] PALSAR-2・Sentinel-1による2017年新燃岳噴火に前駆する地殻変動
キーワード:衛星SAR、霧島新燃岳、地殻変動、噴火準備過程
活動的火山における膨張は地下深部からのマグマや火山性流体などの供給に伴う圧力増加によって説明され,地震の増加や熱・火山ガスの放出量の増加などと合わせて噴火に前駆する現象のひとつである.新燃岳では噴火に前駆する地殻変動がしばしば報告される.本研究では2017年新燃岳噴火を対象として,衛星SARのデータを解析することで噴火に前駆する地殻変動の空間的特徴を明らかにし,その駆動源の幾何と噴火に前駆する物理過程について考察をする.
本研究では2016年から2017年噴火前までに撮像されたALOS-2/PALSAR-2データにSAR時系列解析のひとつであるMulti-temporal InSAR法を適用して,2017年噴火に前駆する地殻変動の時空間変化を求めた.本解析の結果は新燃岳の山腹において各観測軌道に対するnear-range側に衛星視線距離の短縮が分布する非対称の描像を明らかにした.これらの衛星視線距離変化の描像は山腹における膨張と解釈できる.一方,火口では変動の複雑な空間パターンが認められるものの,火口を中心にとした収縮を示唆する衛星視線距離の伸長が認められた.衛星視線距離変化の振幅は2017年5–6月頃から大きくなり,噴火に向かうにつれて振幅は大きくなった.
本解析で検出された前駆的地殻変動の圧力源の幾何を推定するために,開口円筒のradial方向外向き変位と閉口円筒の圧力増加に伴う地表変化の解析解を使用して,山腹における膨張と火口における収縮の再現を試みた (Bonaccorso&Davis,1999; Segall, 2010).開口円筒では地表(火口)からおよそ200–700 mの深さに位置する円筒のradial方向外向きの変位によって,検出された前駆的地殻変動の空間パターンを再現できた.閉口円筒では山腹における膨張のみを再現し,火口における収縮は再現できなかった.新燃岳の火口下浅部には火道の柱状構造が発達していると考えられており,本解析における駆動源の構造と矛盾しない.開口円筒のradial方向外向きの変位量を見積もるためには火道半径を先験的に与える必要がある.2011年噴火に伴う噴出物の噴出率から推定した火道半径4.5–6.0 m (Sato et al., 2013) を与えると,円筒のradial方向外向きの変位量もまた5.5-7.3mと求められ,現実的ではない値をとる.これは変位のすべてを弾性論で再現することの限界を示唆している.
本研究では2016年から2017年噴火前までに撮像されたALOS-2/PALSAR-2データにSAR時系列解析のひとつであるMulti-temporal InSAR法を適用して,2017年噴火に前駆する地殻変動の時空間変化を求めた.本解析の結果は新燃岳の山腹において各観測軌道に対するnear-range側に衛星視線距離の短縮が分布する非対称の描像を明らかにした.これらの衛星視線距離変化の描像は山腹における膨張と解釈できる.一方,火口では変動の複雑な空間パターンが認められるものの,火口を中心にとした収縮を示唆する衛星視線距離の伸長が認められた.衛星視線距離変化の振幅は2017年5–6月頃から大きくなり,噴火に向かうにつれて振幅は大きくなった.
本解析で検出された前駆的地殻変動の圧力源の幾何を推定するために,開口円筒のradial方向外向き変位と閉口円筒の圧力増加に伴う地表変化の解析解を使用して,山腹における膨張と火口における収縮の再現を試みた (Bonaccorso&Davis,1999; Segall, 2010).開口円筒では地表(火口)からおよそ200–700 mの深さに位置する円筒のradial方向外向きの変位によって,検出された前駆的地殻変動の空間パターンを再現できた.閉口円筒では山腹における膨張のみを再現し,火口における収縮は再現できなかった.新燃岳の火口下浅部には火道の柱状構造が発達していると考えられており,本解析における駆動源の構造と矛盾しない.開口円筒のradial方向外向きの変位量を見積もるためには火道半径を先験的に与える必要がある.2011年噴火に伴う噴出物の噴出率から推定した火道半径4.5–6.0 m (Sato et al., 2013) を与えると,円筒のradial方向外向きの変位量もまた5.5-7.3mと求められ,現実的ではない値をとる.これは変位のすべてを弾性論で再現することの限界を示唆している.