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[SVC33-P06] 箱根火山における火山ガス中のCO2/H2S比の連続観測の試み
キーワード:火山ガス、箱根火山、連続観測、CO2/H2S比
神奈川県西部に位置する箱根火山では、2001年から数年おきに火山活動の活発化がみられ、2015 年には大涌谷でごく小規模な水蒸気噴火が発生した。大涌谷周辺の噴気地帯おける火山ガスのCO2/H2S濃度比の経時変化は、火山活動を反映するため、この連続観測は火山監視に有用であると考えられている(Mannen et al., 2021; 代田ほか、2021)。しかし、従来の火山ガス組成の観測は、現地調査が必須であるため、得られるデータの時間解像度が低いこと(多くても月に1回の観測)、火山活動が活発化すると立入規制によりデータの取得が困難になることなどの問題点がある。
本研究の目的は、火山ガス組成(主としてCO2とH2S)を高時間解像度での自動観測システムを構築し、運用することである。
連続観測システムの設置場所は、箱根火山の大涌谷から約300m北側に位置する上湯噴気地帯である。気液混合ポンプを用いて、噴気孔周辺のガスをチューブを通して吸引し、プラスチックボトルで気液分離した後の気相を測定部へ導入する。ガスに含まれるCO2濃度をLI-COR社製の非分散型赤外線吸収分析計LI-840Aで、H2S濃度を光明理化学工業(株)製の定電位電解式硫化水素センサーKHS-5Pで測定した。測定部への火山ガスの導入は、毎時00分から10分まで10分間行い、それ以外の時間は流路等のクリーニングのため大気を導入した。データは1秒ごとに取得されるが、観測値としては、毎時00分に火山ガス導入後、センサーの応答が安定する8分00秒から8分59秒までの平均値を用いる。また、測定値の妥当性を確認するために、測定部直前のCO2濃度とH2S濃度を検知管法で月1回程度測定した。CO2濃度とH2S濃度の標準ガスを測定することで、CO2計やH2Sセンサーの感度を確認した。
2022年6月から同年12月にかけて、本連続観測システムで得られたCO2濃度とH2S濃度は、それぞれ1500~4000 ppmと20~70 ppmの範囲であり、両濃度の変化は同期している。H2Sセンサーの感度は、設置後からの経過時間に対して一次関数的に低下していたため、測定値を補正した。得られたCO2/H2S濃度比は、30~50であった。その値は、同仕様の別装置で測定した値や、検知管法での値と同様であった。このことは、本連続観測システムで得られた値が、妥当であることを示している。また、CO2/H2S濃度比の経時変化は、栗原ほか(本大会)で報告している大涌谷極浅部で発生する地震の発生頻度と大まかに連動しているように見える。
本研究の目的は、火山ガス組成(主としてCO2とH2S)を高時間解像度での自動観測システムを構築し、運用することである。
連続観測システムの設置場所は、箱根火山の大涌谷から約300m北側に位置する上湯噴気地帯である。気液混合ポンプを用いて、噴気孔周辺のガスをチューブを通して吸引し、プラスチックボトルで気液分離した後の気相を測定部へ導入する。ガスに含まれるCO2濃度をLI-COR社製の非分散型赤外線吸収分析計LI-840Aで、H2S濃度を光明理化学工業(株)製の定電位電解式硫化水素センサーKHS-5Pで測定した。測定部への火山ガスの導入は、毎時00分から10分まで10分間行い、それ以外の時間は流路等のクリーニングのため大気を導入した。データは1秒ごとに取得されるが、観測値としては、毎時00分に火山ガス導入後、センサーの応答が安定する8分00秒から8分59秒までの平均値を用いる。また、測定値の妥当性を確認するために、測定部直前のCO2濃度とH2S濃度を検知管法で月1回程度測定した。CO2濃度とH2S濃度の標準ガスを測定することで、CO2計やH2Sセンサーの感度を確認した。
2022年6月から同年12月にかけて、本連続観測システムで得られたCO2濃度とH2S濃度は、それぞれ1500~4000 ppmと20~70 ppmの範囲であり、両濃度の変化は同期している。H2Sセンサーの感度は、設置後からの経過時間に対して一次関数的に低下していたため、測定値を補正した。得られたCO2/H2S濃度比は、30~50であった。その値は、同仕様の別装置で測定した値や、検知管法での値と同様であった。このことは、本連続観測システムで得られた値が、妥当であることを示している。また、CO2/H2S濃度比の経時変化は、栗原ほか(本大会)で報告している大涌谷極浅部で発生する地震の発生頻度と大まかに連動しているように見える。